石野 章（坂月タユタ）

フリーアドレスのオフィスの隅にある、「みんなでどうぞ」と書かれたお菓子テーブル。一個取るだけでも罪悪感に襲われるOL・田島は、食べる代わりにいつも“在庫”を観測している。 減っ…

ケーキ屋の娘で中学生の真琴は、ある日、友達を正論で追い詰めてしまう。気まずくなる教室、なぜか店にやって来る国語教師。周りの言葉に揺れながら、真琴は「正しい言葉の伝え方」と向き合う…

中央線高架脇の小さな刺青店。男は今日も、人の皮膚を彫っている。誰にも理解されない線を描きながら、ほんとうは誰かに見つけてほしい――そんな身勝手な願いを、必死に押し殺して。 そん…

地方の中堅大学に通う一年生の"私"は、周囲に秘密で仮面浪人をし、名門大学への入学を目指していた。 「私はここにいる人たちとは違う」——そう信じていたのに、奇妙で愛すべき文芸サーク…

注意事項 1.この試験は被験者の認知・記憶・感情処理機能を測定する目的で実施されます。 2.解答はすべて所定の解答欄に記入してください。指示に従わない回答は評価されません。 3.…

失恋からひと月、孤独な夜を過ごしていた「私」は、ある日ふと気づく。冷蔵庫の奥が、どこか別の世界へ繋がっているのだ。最初はただの暗闇にしか見えなかったが、やがてそこからは毎晩のよう…

《この作品は自主企画「第1回山羊座賞」への参加作品です。テーマは「ひとり」です。》 リュックサックひとつで家を出た高校生の「私」は、名前も知らない海の町へ辿り着く。色あせた民宿、…

2025年11月22日、日本中を震撼させる事件が発生した。高校生二人が同級生二十二人を殺害し、自らも命を絶ったのだ。この未曾有の惨劇は世間を騒然とさせ、社会に深い衝撃と混乱が走っ…

競馬にのめり込み、給料も生活費も馬券に注ぎ込む熊谷は、パチンコ店でバイトをしながら日々をやり過ごしていた。そんなある日、同僚として現れたのは、美しい金髪の女・七瀬みのり。彼女と関…

十年に一度だけ地球の近くに訪れるシルフィード彗星。同級生の大輔に誘われてその彗星を見に行った私は、彼から不思議な話を聞く。彗星を見た者は、魂を他の惑星へと連れて行かれてしまうとい…

厳格な親とクラスのいじめに追い詰められ、「死にたい」と家出した高校生・翔真。辿り着いたのは現世とあの世の狭間、神秘の"無明域"だった。不思議な少年・猫八に誘われ、七日間の不思議な…

鈴宮柚葉には、誰にも言えない秘密があった。幼い頃に遭った事故のせいで、彼女の頭には人工知能が埋め込まれているのだ。そのことを誰にも打ち明けられず、柚葉はいつも一人、胸の奥で静かな…

その日も、何も変わらないはずだった。無機質な打刻音。冷えた空気。いつものデスク。ほんの少しの違和感さえ存在しない――たった一本の電話が鳴るまでは。 「――藤井理央様の退職手続き…

夜になると魚が空を泳ぐ街の話。 ＊＊＊ この作品は以下の自主企画に参加しています。 【『魚』というホラー小説を探しています。】 https://kakuyomu.jp/use…

仕事一筋で他者を踏み台にしてきた男が、瞼を閉じるたびに不気味な存在を感じるようになる。まばたきの一瞬に現れる罪の影がじわりと心を蝕み、昼夜を問わず追いつめてゆく――。

生まれつき目の見えない僕は、いつも人の悪意に晒されてきた。でも、龍太と勇祐だけは友達になってくれた。そんな三人で向かった心霊スポットで、僕は想像も絶する恐怖に遭遇するーー。

どんな願い事でも三つまで叶えてくれる「龍の手」。ただし、運命を捻じ曲げようとすると予期せぬ災いに見舞われるらしい。あなたなら、どんな願い事をしますか。 「猿の手」の作者：Wil…

学校で起きた怖い話。

父が亡くなってから、我が家では奇妙な食卓が始まった。

少し先の未来、人類が二つ目の月を作った頃の話。

娘を亡くした父親が、遺された牡丹を育てる話。

鏡は昔から、魔除けの道具として使われていました。