矢向 亜紀

咲きたい時に咲くおじさんと、面接でSDGsの話をしても就活がうまくいかない主人公の共同生活。こんなおじさんになれたらいいなと憧れるような、やっぱり見せものみたいなのは嫌かもなと思う…続きを読む

「体や心が辛いなら、ぼくの家で休んでいるといい」 そんな言葉が心に響く、ながいながいひとときを丁寧に紡ぐ物語。読み進めながら、自分の想像の中に生まれた図書塔を見つめるのがとても心地…続きを読む

常日頃から、数字って美しいなと思っていました。数学は苦手ですが、時計やカレンダーを見るのは大変好きです。 だから、7が3を殺してしまったと知った時はとても悲しく思いました。数字が数…続きを読む

本作を読んで頭に浮かぶのは、日常のごく普通のありふれた、いつも通りの景色。カーテン越しに見る日向のような感覚です。 それと同時に、“ありふれた景色”の中に湧き上がるザラザラした情熱…続きを読む

ページをめくる度に、絵本を読んでいるような気分にさせてくれる少し不思議な物語。自分の想像力を自由に働かせ、頭の中で景色を思い浮かべながら読むのがとても心地よかったです。 そして、作…続きを読む

でも、使う権利があるなら行使したい。親のエゴとも言えるし、人間の性とも言える結構切実な心理。それが、いわゆるガチャガチャ（ガチャポン）の形式を取っているという、お気軽に生命倫理に触…続きを読む

短歌で日本を旅するユニークな歌集。行ったことのある場所を連想する短歌には懐かしさを、まだ見ぬ景色を覗けるものにはワクワクを感じる楽しい作品です。こうやってことばと一緒に頭の中で旅が…続きを読む

ヒールやピアス、化粧に洋服……。外見を飾るのは楽しみなことである一方、どこか強迫観念を引き起こしたり過度な自己防衛として働く危険なものでもあります。 本作に収録された短歌は全て、己…続きを読む

ちょっとした日常の景色が、パッと色鮮やかになる。清涼感ある恋の始まりを切り取った物語、短いながらも心に残る素敵な時間でした。

三国志がきっかけで、中国を訪れる旅エッセイ。ハプニングありおいしい食べ物あり、もちろん三国志好きな方にはたまらない聖地巡礼の景色もあり。 コンテンツがきっかけで行く聖地巡礼が普通…続きを読む

記憶の色を作ってくれる喫茶店。何だか素敵じゃありませんか。 登場するお客さんは三組だけ。ですが、もっと彼らの思い出を詳しく聞きたくなりますし、他のお客さんの思い出と色を知りたくな…続きを読む

深夜にふと目が覚めて、スマートフォンを見てしまうあの明かりの中。この物語の舞台はとても狭い空間ですが、それが返って、身に染みる妙にリアルな寒さを表現しています。読んでいるだけで指先…続きを読む

この物語の美しさを表現しようと試みましたが、私が説明するよりもただ一言「読んでください」と言えばいい。そんな気がしました。題名から漂う気配に惹かれた方は、ぜひご一読ください。読了後…続きを読む

生きていく上でほとんどの人が抗えない、加齢に伴う変化。それをきっかけにして起こる小さな物語を読み進める時、私たちは語り手と一緒になって、ヒヤヒヤした心持ちになることでしょう。 で…続きを読む

間違いなく「名探偵」の物語。本作に関するすべての言葉を読み解いて、後は物語に身を委ねれば、あら不思議。
きっとあなたも最後には、「名探偵」のファンになっていることでしょう。

不思議なレストランに足を踏み入れて、夜空に浮かぶ星屑たちに舌鼓をうつ……。 そんな景色を夢見たことがある人は、本作の虜になること間違いありません。 広い宇宙のあちこちに見える、あん…続きを読む

どんな選択肢も結局は、「何かを選ぶ」という行為に変わりはない。だけど、それが何と繋がっているのかはその時々で変わる。 一人の男の視点で対峙する「選択」は、時に暖かく時に冷たい。私た…続きを読む

フラスコ頭の博士と、会話が出来ないゴーレムの女の子。優しい雰囲気の中に、“実験で異形頭になってしまった博士”の孤独がうっすら滲み出し、ほんのりとした切なさを感じます。 しかし、博士…続きを読む

異形頭の紳士と出会う、ちょっとした事情を抱えた女の子。ちぐはぐだったり、少し調子が狂ったり。二人の会話は可愛らしくて、ついつい応援したくなります。 美しい月夜に見えた互いの姿は、さ…続きを読む

短編小説、少ない登場人物。「友人が田舎から都会に出るのが面白くない」という極めて小さな感情が発端の物語。それなのに、この短い物語に主人公・アレックスの人生が滲み出て、彼の過去も今も…続きを読む

まさかこんな日が来るとは思っていませんでした。桃太郎と現代のものが混ざるだなんて。 2つのお話がありますが、どちらの世界観もやけにリアルで光景を思い浮かべるだけでずっとくすくす笑っ…続きを読む

そのタグにつられて拝見したのは事実です。しかし読みながら、これがどうギャグになるんだろう？と疑問に思っていました。重厚な語り口、雰囲気に、ギャグの要素が全く見えなかったので。 こ…続きを読む

SFと聞いて、「小難しい」という印象を持つ人は少なくないと思いますが、苦手意識を持つ人ほどこのお話を手に取って頂きたいです。 本作は「可愛らしいSF」。今はお読み頂ければわかるは…続きを読む

「隣の部屋の音を聞く」という仕草は、それ以外の何物でもないと思っていたのですが…。 そうか、そういうことだったのか！と、結末まで読んで楽しい気持ちになりました。なるほどなぁ…。 色…続きを読む

「みんな違ってみんないい」とは言うけれど、「違うからこそ感じる惨めさ」は時に人を傷つける…。でも、もし「みんな違わなかったらどうなるか？」と考えた時、心の奥がざわっと冷えるような気…続きを読む

未来の音楽事情、どうなっているのかな…と覗いてみたら、とんでもなく視野を広く持たねばならなくなっていました。 現代の私たちからすると途方もないことですが、作中の人たちはそれを“音楽…続きを読む

「不動産屋に小人のおじさんが訪ねてくる」という、ちょっぴりシュールな幕開けを迎える本作。主人公・臼井の孤独さやくたびれた雰囲気、小人のおじさんの飄々とした様子の対比がなんともユーモ…続きを読む

仕事終わりに、美味しいお酒とおつまみを楽しむ…。大人にしか出来ない醍醐味を全力で味わう主人公の様子を見ていると、こちらまでお腹が空いてきます。しまいには、お腹がぐうぐう鳴る始末。 …続きを読む