文句があるなら使わなくてもいいけれど

でも、使う権利があるなら行使したい。親のエゴとも言えるし、人間の性とも言える結構切実な心理。それが、いわゆるガチャガチャ(ガチャポン)の形式を取っているという、お気軽に生命倫理に触れる仕組みで成り立つ社会……。
こうした世界観はSF・ディストピア小説の醍醐味でありつつも、どこか昨今の嫌な親子・家族論に通じるものも感じられ、そこはかとない不気味さがありました。それなのに読み心地がさっぱりしている、不思議で興味深いお話です。