「戦間期 ミリタリー」を含む小説

「エミリア・ミュレーズ！　お前との婚約破棄が決まった！」 　それは、関係者が予想していた中でも最悪の類のものが的中した瞬間であった。 　中央世界暦1655年8月、アズーリア帝国首…

「あなたとの婚約は解消することになったの。ごめんなさいね」 　敵国の空軍基地を爆破する任務の最中、帝国陸軍戦闘工兵であるセルジオ・ミローネの脳裏に、はたと過去の記憶が反芻した。 …

現実世界によく似たネットの発達した世界の「世界大戦」に負けた敗戦国ドイベル。もちろん、その先には平穏などあるはずはなかった。SNSでの政党の言い争いは、日常のこと、政党の持つ準軍…

巨大な戦乱が終わったものの、世界はまだまだ混迷を極めていた。 敗戦国ロイテで戦後生まれ最初の世代の少女ナタリエは、戦前と戦後との間で変わってしまった社会のギャップに苦しめられ、戦…

時は戦間期ヨーロッパ。緊張する国家間を駆け巡り、外交交渉を行う者がいた。彼の名前は安芸峻一朗。日本人であり、周囲からは伯爵と呼ばれていた。そして彼は自らを『独立外交官』と称してい…

「お前は持たざるものだ。私の言葉の重さを、痛みを、呪いをお前が理解するときが必ずくる。同志上級軍曹、いずれお前は」 そう彼女は言った。 あの戦争から一年。 元ソビエト赤軍最…

「まさか・・・本当に・・・・」 　スクルドは見た。 夕闇空に輝く星に紛れるように銀色の輝きを放つ”それ”は、普通この町の上空を通過するはずのないものだった。 　町の遠く…