Farbloser Scherzkeks

@ungerun_

第1話[ディール]

 統一暦2017年、帝国暦986年、ドイベル帝国は協産連盟諸国に負けた。

 その後、ドイベルは共和制に移行し、ドイベル共和国となった。しばらくは、社会党と共和党の二大政党制だったが、各党での派閥争いが激化し、分裂し、共和党からは民生党(通称ハート党)と統一党(通称スペード党)が、社会党からは共産党(通称ダイヤ党)と評議会(通称クローバー党)が生まれた。彼らは、準軍事組織を使い、激しくぶつかり合っていた。また、発達したSNSでは、異なる争いをしていた。国民全員がどこかの政党に属していないと命が危ないような国家となっていた。そして、この国にはそれを止めるだけの国力など無くなっていた。

 我々、ドイベル人はこの屈辱をいつまで浴びれば良いのだろうか。夜の国、そう言って支障はないほど、国は壊れている。内戦になってないのが、奇妙なほどだ。そこで首都のある州プロッシュの治安を守るプロッシュ警察に新しい部署を作り、治安改善を加速し始める。そして、配属される新人もやってきた。部署の名は情報統括部、新人の名はコルネール・フラシュという。この物語はこの組織と彼を中心に回していこうと思っている。

 プロッシュの州都で首都のベテーンの空気はきれいではない。蜘蛛の巣のように張り巡らされた道路、軌道の上を人々が機械的に動いている。もちろん、職も家もなく路頭に迷っている不規則な人も多いが彼は、違った。情報統括部へと向かっていた。しかし、彼は住宅街の中に進んでいた。そう、住宅街を入って右手の二軒目が彼の職場となる。住宅街とは言ったものの空であった。ベテーンには、現在このような状況の場所が他何か所にも点在している。その中でもここは戦前は商店の裏であったため回線設備が整っていたからである。そして、彼は住み込みで働く。

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