「実在の人物」を含む小説

　小泉全闘《こいずみぜんと》は罵りたい。『否定』というものは『悪い事ではない』からだ。『指摘』するだけにとどまらず、『馬鹿』だ『駄目』だと蔑みたい。『害は悪い事ではない』からだ。…

　淀川大春《よどがわおおはる》は考える。愚者の思考を考える。そこには何もない。そして、全てがある。この意味がわからない人たちの事を考える。その心情さえも慮る。しかしてそれが何であ…

高校受験に失敗ちた少年、鬱々とした気持ちで歩いていると、甘い春風に行く手を遮られる。バイクに乗った美少女ルビは煌めく夕日の髪を靡かせている。いきなり「ねぇ、君♡　マホウトコロ女学…

　形造色生《かたちづくりいろうみ》こと江柿浩介は描きたい。形を造って色生むように。江柿浩介は造りたい。形を造って色生むように。 　彼は絵を描き物を造る。彼が造るは多岐に渡る。例…

　渡空表明《わたるそらあらわしあきら》は世渡り上手。人々の気持ちを慮る。彼の言葉は心に響き、聞き入る者たちを魅了する。関わる人間は尽く、その魅力の虜になる。 　彼は布教するつも…

なんか……碇シンジくん的な……？

アトリエ。 芸術家の人が作業場として使うその場所。 ここ、『アトリエ月光』も、その一つだった。 月村光《つきむらひかる》は、父の月村響《つきむらひびき》の長年の夢だった、アトリ…

"デスティーノ・ジラソーレ"。 　 　大明元年。日伊戦争に敗北した日本では、俗に言う大明天皇の"聖断"により、無条件降伏の受諾が決定。結果イタリアの植民地と化した日本は、イタ…

その日、何かが変わった。 俺は神官の家系だからか、それに気がついた。 増えすぎると、集団で入水自殺するという迷信が存在するレミング。 タビネズミと言われるくらい、彼等は旅に出た…

白昼堂々現れたその幽霊に、私は涙し崩れ落ちた。 ニンゲンの傲慢が生んだ怪物。飽食の時代に、復讐を誓ったあの悪魔――。 ※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・物品・事…

数十年前に突如出現したダンジョン。 そんな場所へ攻略ではなく、散歩しにいく男がひとりいた。 「なんて強固たる覚悟！　君の気迫に圧倒されてしまったよ！　これは応援しないわけにはい…

浩の“引きこもり”皇太子・水適（すい・せき）に嫁いだ、 颱国の元皇太女・皓月（こうげつ）。 銀の髪、銀の瞳、銀の爪を持つ特異な容貌故、 その身を隠して生きる皇太子との対面は果た…

　ある高校生になって一年を過ごすというゲームがある。そのゲームでは毎日どの様に過ごすかを殆どプレイヤーが決められる。部活をして過ごすもよし。バイトをして過ごすもよし。友達と一緒に…

　妹は配信をやっている。家族に隠してるつもりみたいだけど、家のネットワークを秘密裏に管理している僕からすればそんなの筒抜けだ。それで、僕は妹が心配だったから、ついついその配信を見…

　岩上智春《がんじょうともはる》は長生きしたい。それは元カノの一人に、『神秘的なものへのなんとなく信仰』を完全否定された事に端を発する。当時は彼も彼女も幼くて、未熟な思春期であっ…

桜が満開のとある日、一人の老人がベンチに座っていた。 彼は、二年前に最愛の妻を失い、今日は妻の三回忌だった。 彼は、亡き妻との出会い、結婚、結婚後の日々を懐かしむように思い出…

　船橋悠斗《ふなばしゆうと》は二年前、配信アプリである大学生の女の子と知り合った。彼女の名前は『皐月葉空《さつきばくう》』。彼にとって彼女は特別で、『こんな人には出会った事がない…

『国という概念』が『懐かしいもの』として語られるようになった近未来。人々は科学技術の恩恵により、持続可能で平和かつ文化的な生活を送っていた。 『貧困』や『飢餓』は無く、『全ての者…

　2025年4月1日、宗教法人『物打題法《ぶつだだいほう》』が創立100周年を迎えた。同集団の代表、『会長』と呼ばれる『焼畑代創《やきはただいそう》』はこの日、式典にて信者を前に…

瞠目桂《どうもくかつら》は探究者である。彼は言語を研究し、探究する日々を送っている。新興宗教『作値問下』の代表、『受事触真』に共鳴した彼は、自身の役割は『言語の救済』であると考え…