「円城塔 短編」を含む小説

宇宙探査船、フォゼ・デム号。人類の楽観的な夢と果てしなく現実味の無い希望を優秀な人員と共に乗せて地球を飛び立った精密で頑丈な、短命の沈没船。 ある男の顛末だけが語られる。

教会の鐘が鳴る石畳の街。怪我を負った用心棒が、療養がてら骰子職人の工房で働き始める。仕事は骰子を振って出目を記録するだけ。静かな日々の中、職人は「完璧な骰子」について語る——偏り…

ただ、不確かなのは自分だった。

※この物語はフィクションです。過去に公開したショートストーリーを元に再構成しています。2025年カクヨムコンテスト11短編応募用。 あらすじ 主人公の矢本智夜（架空の少年）は小…

リストラされた五十三歳の男が、 千葉のどこかにある私鉄の小さな駅で降りた。 場末の路地裏、欠けた看板が赤く光る。 「炭火焼肉　ぼ　ん」 間の抜けた空白が、まるで自分の心の穴…

ある時計のお話。 ※ 2000文字程度のショートショートです。 ※ 『小説家になろう』にも投稿しています。

一日一人が必ず未知のエイリアンに喰い殺される極限状態から、なぜ一人だけ生き延びることができたのか……。生き残れる探偵は、三百六十五名のうち、謎を解いた一名のみ。

とある草刈り作業者のお話。 ※ 『小説家になろう』にも投稿しています。

　何でもできる死にたがりの少女と何も持たない欲深き少女のひと夏。

こどもの時から気づかず愛に飢えて行った主人公の一筋の愛とその行き先を描いた作品です。こどもの無垢さとはときに鋭い武器になりうるのです。

波間中学校・1年B組の国語の授業。
 「水を得た魚」は“うお”と読む——そこから授業は思わぬ方向に脱線する。
羊羹が食べられると思った生徒、干物扱いをする生徒、AEDの出番を心配…

スノーバードのリーダーが披露する華やかな飛行——
……のはずが、心を奪われたのは、
まさかの“ブルーベリー団子”。
空の主役が、地上の甘い香りにふと惹かれてしまう瞬間を、
観察者…

この世に存在しなかった全く新しい味、虚味《うろみ》が世界に普及したにもかかわらず、蕎麦屋を営む父は頑なに虚味調味料を取り入れようとしない。時代に取り残されないよう説得を試みる主人…

結婚六年目。妻がおかしくなった気がする。きっと育児疲れだ。そう思っていつもの朝を過ごしていた悠人は、「現実」を突きつけられる——。

主人公の男は、最愛の妻の突然の死に言葉を失った。 息子と二人きりになった日々の中で、彼は偶然、妻が自分宛てに残していた遺書を見つける。 誰もが羨む理想の家族の裏側で、妻はどんな孤…

普通じゃない少女時代を過ごしたわたしを癒してくれるのは、生き別れた母親でも、育ててくれた厳格な祖母でもなくって、薫ちゃんだけ。

モスヘティアの町は夢から語りかけてくる。現実の問題を解決してくれる。必ずあなたを揺さぶってくれる。私たちはときおり夢に逃れ、また現実に立ち向かう。次はあなたが誰かに、夢を見せる。

ガンになったらどうすればどういいんだろう？　という疑問から書いた小説です。 結局、具体的な病状やその人の置かれた状況、人間関係の中で、決まっていくしかないんだろうな、という当たり…