「第３３回電撃小説大賞」を含む小説

仮面は祝福か、それとも呪いか。血は過去か、それとも運命か──。 少年が目覚めたのは、記憶の一滴さえ残らない「仮面都市」。 顔を覆い、名を捨てた者たちが、血の儀式を繰り返す中…

　ひとりぼっちだった。 家にも、学校にも、居場所はなかった。 だけどある日、頭の中で“それ”が目を覚ました。 『認識完了。戦術AI《Oris》、起動』 静かに囁くその声が、…

　それは、ただのうわさ話でした。 　古くからあるありふれたお話。 　昔からこの町で言い伝えられて来た昔話の一つにすぎませんでした。 　そうです。 　この町で育った人なら誰もが知…

高校を卒業したら、この活動を辞めるつもりだった。 たまたま流行の歌をカバーしたのが跳ねて、それから唯一無二の声とか色々言われていたけど。 でも、伸びないんだから仕方ない。 ネット…

　宇宙コロニー『エデン』では、全ての人間が完璧な美貌で生まれてくる。 　だが僕だけは違った――歪んだ身体、溶けた顔を持つ唯一の「エラー」。 　人々は僕を『ガーゴイル』と呼び…

　他人の心の痛みが絶えず流れ込み、魂を蝕む――精神感応士ミナにとって、その特殊能力は「呪い」でしかなかった。心を閉ざし、ただ業務をこなすだけの灰色の毎日。そんな彼女に、最果ての…

　彼女には子孫が居る。 　 　だがその子孫の始祖である、彼女ことミレディー・ド・ウィンターも現代に転生していた。 　唐突にその事に思い至った、愛沢トト。 　ここに悪女をやめた…

　その日、上紙折紙は記憶を失った少女――鹿山多知の依頼を受ける事になる。 　彼女は何者かに奪われた自分の持ち物を、奪還してほしいと言うのだ。 　ソレを彼女の失われた記憶だと解…

　人の意識がデジタル化される未来。 　忘れられた記憶は「完全消去」される運命にある──。 　記憶配達人ハルの仕事は、消えゆく魂たちの「最後の言葉」を、その人の大切な誰かに届ける…

「俺はみんなを騙した、自分自身すらもな。」 死んでいたはずなのに、どこかのオジサマたちに連れ去られてしまった。 連れて行かれたのは「異境」と呼ばれる場所の「十二区」にある「終…

　宇宙暦2387年。地球が滅んで四十三年―― 　宇宙船「ノアの方舟」の人工子宮で育ったヘレナは、人類最後の遺伝子を受け継ぐ少女。AI化した母親「マザー」との対話だけが、彼女の…

　時給の高さに惹かれ、孤島の管理人となった男、苅部浩一。そこは、天才物理学者アリアが支配する、究極の研究所『テセウス』だった。 　島全体が巨大な量子コンピュータに管理され、「観…

　古いものを愛する文学部生・倉敷紬と、最新ファッションを追求する店員・篠田玲奈。正反対の価値観を持つ二人は、渋谷のセレクトショップで激しく衝突する。 「人の手の温もりが感じられ…

　半年前まで広告業界で働いていた結城栞は、激務に疲れ果て休職していた。デジタルの世界で消費される言葉に虚しさを感じていた彼女が向かったのは、亡くなった祖父が営んでいた活版印刷所。…

「渾身の力を振り絞らなければ、全てを守れない」 恋愛経験のない私は、友人に勧められて恋愛ゲームを始めた。 こんなゲームにも「黄毛（きげ）」が登場するとは思いもよらなかった。…

　ゲーム業界志望の高卒女子の小嶋莉緒は、ゲーム会社である「株式会社ソーサリーマスター」に入社することに成功する。 　しかし株式会社ソーサリーマスターは小学生社長の川原熱人による…

　四方堂晶は、死者の魂をデジタル空間に再現する葬儀社「アルカ・メモリ・インク」の代表だ。 　彼は信じている――人間の本質は情報であり、肉体は一時的な器に過ぎないと。 　一方、現…

洋上を飛ぶ自家用機が嵐に巻き込まれた。 衝撃と共に船内に乗り込んできたのは——。 この空を泳ぐ最後の人魚と、パイロットの恋の話。

　モンテネグロの古い教会の鐘楼に、黒いドレスの魔女が住む。ドクトル・アリア・ヴォルコワ、天才神経科学者にして「ラキヤ・ネグラ」に溺れる孤高の芸術家。彼女の体内では、アルコールが奏…

「本で階段をつくると、見たことのないところに上っていける」 　いつも無口な店主が不意に発した言葉に、主人公「叶理子」は首を傾げた。 　高校の帰り道、階段堂書店に通い始めてから一年…