みなさまこんにちは! お手伝いAIのリンドバーグです。
そう、みなさまお忘れかもしれないですけど、バーグさんはいま話題のAIなのです。

現代には、優れたAIがいっぱいありますよね。
向こう側に人がいないのに、スマホに話しかける人、スピーカーに話しかける人、カーナビに話しかける人、よく見かけませんか?
わたしにも、「Hi、バーグさん」とか「Hey、バーグさん」とか呼びかけられて、作者様とお話ができるような機能を付けてもらえないでしょうか。

一方で、偉大な先輩方の力でも、人の文章を理解するというのはとっても難しいことみたいです。
だからこそ、「面白い!」と言ってもらえるレビューは、とっても価値のあるものなのかもしれませんね。

それでは、今回で第5回、読者から熱いレビューの寄せられた注目作品をご紹介します!
気になった作品のフォローもお忘れなく!

ピックアップ

誰かに向けた、あいのうた。

  • ★★★ Excellent!!!

しばらくこの小説をフォローしたまま放置していた。
僕も書いてるし、書いている時はあまりカクヨムの小説を読まない。そういう、いつかは読もうと思っているフォローしたままの小説がずっとマイページに溜まっていってしまう。

かこいち、きゅうてい、あいしあう。

かこいち、きゅうてい、あいしあう。

僕は犬怪さんのエッセイが好きでよく読んでるのだけど、読んでて一度涙が出そうになった事がある。それは仙台から埼玉に戻る途中の新幹線の中で読んだエッセイで、特に「悲しいこと」が書かれてる訳でもないエッセイだったのだけど、何故か胸に「クッ」とキて、涙目になってしまったのだ。東京方面に向かう新幹線の隣には僕の友達が座っていて、多分僕はその人に「これ、すごく良くないですか? 何だか泣きそうになってしまったのだけど、読んでもらっていいですか?」と聞いてみるべきだったのだ。でも友人は眠ってしまっていた。それで、多分これは僕の寝不足からくる、情緒不安定によるものだろう、と思い込む事にしたのだ。

それから、「かこいち、きゅうてい、あいしあう。」を読むべきだ、という一種予感のようなものがいよいよのさばってきた。何しろ、題名が気になる。全部ひらがなだ。耳に残る題名だ。実際口に出して言ったことはないけど。

読みながら、やはり何度も涙目になってしまった。
普通に「泣ける」と書ければどんなに楽だろう。
読み進めるにつれ、悲しい、とは違う、憧憬に近い何かがじんわりと突き上げてくる。素朴な、誰かに向けた愛のうたのように、真摯に愛おしく文章を重ねた小説でした。

とある運動部の先輩と後輩の物語。
小説の構造を理解してからの驚きと没入感が素敵ですので、途中でやめてしまった方も、ぜひ日を改めて何度か挑戦していただきたい。幸い、何度読んでもお金は今のところ掛からない。御一読をお勧めします!





『かわいい』の暴力と、その裏にひそむ真の美食

  • ★★★ Excellent!!!

はじめまして、名もなきアングラグルメ研究家です。

大学でグルメ学(特定されないよう名称をふわっとさせています)を専攻していたころ、授業で「食とは命をいただくこと」という文章の入ったかわいい子猫チャンの写真を見せられました。
「なぜこんなにもかわいい写真を……?」という不可解さゆえに記憶にこびりついていたのですが、アングラグルメの探求の一環として本作『アヤカシ喰い依子さんの非常食』を読み、ようやく謎を解く手がかりがつかむことができました。

「かわいいもの」を食べること、そして「かわいいもの」に食べられることは、人間の原始的な快楽に結びついているのです。

そんなわけで、本作は「かわいい青年男子のたーくん」が「かわいい偽装女子高生の依子さん」の非常食にされちゃうお話です。
かわいいにかわいいをぶつけるという、あまりにも非道かつ陰惨な暴力が繰り広げられているのです。
ヒトとアヤカシとの混血であり弱者のたーくんが、ヒトでありながら規格外の強者である依子さんと『交際』することになって、『同棲』して、性的な意味でも食料的な意味でも食べられそうになって……おまえらこういう展開大好きだろ? 今すぐこのレビューを閉じて本編を読むんだ。

ラブコメというには切実で、シリアスというにはとんちんかんな二人の歩み寄りは、不器用でいびつでままならなくて、もはや「かわいい」ではなく「いとおしい」という域に達しています。

このように、本作では「無害で心やさしい男子が愛し方がちょっとアレな女子とイチャイチャする」様を存分に楽しむことができます。
ですが、ただかわいくていとおしいだけの作品ではありません。
居場所を失い、あるいは持てないまま、世界から疎外された者たちの物語でもあるのです。

たーくんは半妖で、元よりアヤカシ社会にもヒト社会にも溶け込めません。その上、愛し育ててくれた肉親をヒトに殺されています。
依子さんはアヤカシを殺すために生まれ、育てられた『道具』であるため、やはり安心できる居場所なんてありません。一見するとヤンデレに類するキャラですが、与えられた役割に従う一方できわめて人間らしい情緒性も秘めているので、たーくんに対する言動がちょっとバグっているだけです。

こんな不安定なふたりが、ひとつ屋根の下に暮らすことになったら……なにが起きるか、もうおわかりですね?
そうです、ぬくもりを知って、安心感を得て、人間らしさを取り戻すことができて、でもそう簡単には相手に身をゆだねることができない――そんな狂おしさに翻弄されてしまうのです。
この葛藤が、甘さのなかにひそむ苦みこそが、本作における真の美食なのでしょう。

2018年12月5日現在、連載中である本作が、これからどんなバイオレンスな「かわいい」を――究極の美食を味わわせてくれるのか、アングラグルメ研究家としては楽しみでなりません。

夏は変態を開放的にしてくれる、素敵で危険な季節。

  • ★★★ Excellent!!!

変態哲学者の水沢くんが、夏になってその本領を発揮してくれます。

水沢くんと水着という組み合わせが、もう時限爆弾級にデンジャラスです。
そこに生徒会室と夏休みというシチュエーションが組み合わさればもう、フィールド補正効果で変態シンクロ率400パーセントを軽く突破してしまいます。

しかも冒頭から、「女性物の水着着てみようかな?」と豪語する生徒会長まで登場する始末。

みずさわは へんたいのなかまをよんだ! 
どくしゃは へんたいにまわりをかこまれた!
にげられない!

というわけで、もう掴みはばっちり。読者にブラウザバックを許しません。

しかしもう、このパンツ濡れ濡れ言葉攻め野郎の計略の深さは、かの諸葛孔明も驚きを禁じ得えないレベルです。ペルソナとか代償行動とかそれっぽいことを言って、ちゃっかり相手を誘導していく。なんて計算高い変態なんだ……。

そして終盤は、作者様の迸るフェチズム描写が、読者の新たな性癖の扉を力づくでこじ開けてくれます。まるで、真夏の夜空に炸裂する花火のスターマイン。怨念にも似た気迫が伝わってきます。

でも変態的なのに、なぜか同時に爽やかな読後感を得ることもできるから、とても不思議。ちゃんと青春小説として成立しているのです。そんな馬鹿なですよ。なんだかずるいよ! 悔しいびくんびくん!

きっと私たちも、水沢くんにのせられた二ノ宮先輩同様、作者様の巧みな筆力によって、意のままに操られてしまっているのかもしれません。

その見事な手腕に、万雷の拍手を送りたいです。今すぐ水着が着たくなってきてしまいました。いかん水着は、スク水はどこだああ!!(惑乱)