小説を書くという、誰にでもできそうで実は大変な作業。私も学生の時に執筆してみようとチャレンジしたことが何度かありますが、最後まで書けたことは一度もありませんでした……。企画やプロットの段階で「これはおもしろいぞ」と思っても、そのアイディアをしっかりと小説のかたちにするのは難しいものです。書き手の皆さまの熱意と根性にはいつも頭が下がる思いです。
今回の特集では、短編・長編を問わず、「異世界ファンタジー」と「現代ファンタジー」のジャンルから、個性が光る小説を４作品ご紹介させていただきました。どのタイトルも、おもしろい設定やアイディアがうまく織り込まれ、唯一無二の作品に昇華されていてオススメです。ぜひご一読ください。
乙女ゲームに出てくる悪役令嬢の父親に転生してしまった主人公ヴォルフガングの物語。心あたたまる父娘のハートフルストーリーが魅力的です。練り込まれた設定と伏線の数々が登場人物と世界観に奥行きをもたらしており、ゲームシナリオという名の運命にあらがおうとする主人公の行動原理がたしかな読みごたえを感じさせます。
WEB版はいよいよ最終章に突入！ 愛娘ルイーゼを悪役にさせないために奔走する父親のカッコよさ、すくすくと育っていくルイーゼのかわいらしさを堪能してください！
（「個性あふれるおすすめファンタジー小説4選」／文＝MFブックス編集者Ｉ）
異世界人ミニャちゃんの配信を見守る、とある掲示板の住民たち。まだ幼いミニャちゃんがひとりで森の中で生活していることを知り、ネット住民たちは心配しますが、ミニャちゃんには人形を依り代としてネット住民を召喚する力があった！ 召喚されたネット住民たちは、団結してミニャちゃんを守り、異世界の森を開拓する！
――お互いの顔も知らないネット住民たちが、ミニャちゃんのために連携して戦闘や開拓をこなしていく様子がおもしろい、癒やされサバイバルファンタジーです！
（「個性あふれるおすすめファンタジー小説4選」／文＝MFブックス編集者Ｉ）
魔法少女になってほしいという怪しい誘いを断ったはずが、翌日には少女の姿になっていた良一。彼は仕方なく魔法少女として生きることになるのだが……。
緻密に練られたキャラクターのバックグラウンドや世界設定がシリアスな空気感をうまく盛り立てていますし、「ですます調」の文体は少女らしさを演出しつつダークな展開とうまくバランスを取っていると感じました。はじめのうちはひとりで戦っていこうと考えていた主人公が、ほかの魔法少女と心を通わせていくまでの丁寧なストーリーラインが最高です！
（「個性あふれるおすすめファンタジー小説4選」／文＝MFブックス編集者Ｉ）
人間には向かない職業を生業とする「私」は、今日も仕事をこなして行きつけのバーへ向かうのだが……!?
1万字強の短編ですが、文字数以上の満足感が得られること間違いなしですので、レビューを見る前にとにかく読んでいただきたいです。2025年1月現在、作者様はカクヨム上で本作を含めて３作品を公開されています。どれも鋭刃で刺激的な作品ですが、本作がいちばん読みやすく作者を知る入り口としてオススメしたいと思いました。現実には存在しえない100％フィクションのストーリーなのですが、社会人読者には既視感のあるシーン。そのギャップがおもしろく、オチも秀逸です。
（「個性あふれるおすすめファンタジー小説4選」／文＝MFブックス編集者Ｉ）
