概要
主人公、根本 憲児(ねもと けんじ)は40代後半。商社で働いてきた。就職は地方で結婚も地方でし、子ども(娘)にも恵まれた。40手前で本社(東京?)に栄転となり、そこでもバリバリ仕事して出世街道に乗っていたが、同期(ライバル)や部下の裏切りにより濡れ衣を着せられて退職に追い込まれる。
地元に帰って職探しをしようと思っていたが、妻は浮気していて、無職を理由に離婚すると言われ、妻の浮気相手が医者だったこともあってそこそこの慰謝料をもらって離婚。何もかも失って安いアパートに引っ越し。何もやる気が起きなくてしばらく呆然と暮らしていた。
ある日、仕事していた時代に行ったおでん屋台のことを思い出して行ってみると、まだ同じ場所に屋台が出ていて、大将に今日が店じまいであることを告げられ
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!おでんという食べ物の可能性を実感
おでん……この魅惑的な食べ物の可能性は全世界、いや異世界をも救うかもしれない、それを素直に信じたくなる物語でした。こちらはファンタジーではありますが、主人公の前職での体験は「お仕事小説」でも通用するのではないかというくらいリアルでした。成功体験と共に誰もが体験し得る辛い状況も語られています。そこがファンタジーとしての物語に厚みと救いを与えていて、読んでいて私も救われました。
美味しいおでんは人の心を救う、その事実に頷いてしまうほど優しさに包まれたお話でした。こちらの作品を私は漫画かアニメで見てみたいと思うのですが。映像化されたら、黄金色の出汁に誰もがウットリし、次の日はおでんが品切れになる…続きを読む - ★★★ Excellent!!!異なる世界に普及し始める変わらぬ美味しさを
見知らぬ食べ物を初めて口にするときの、高揚感と抵抗感が溶け合ったかのようなドキドキ。
食への探求心を前にして人間は、時として無力なものになるのだと思います。
主人公は紆余曲折があり現代と異世界を行き来しておでん屋台を出店することになります。
特に異世界では初めておでんの存在を知ることになるお客さんばかり。彼、彼女らのおでんに対する反応の瑞々しさが豊かな表現によって綴られており、おでんが食べたくなってしまいます。
また、おでんとお酒を楽しむお客さんが、店主に思わず吐露する困りごとには、この世界にキャラクターたちを確かに繋ぎ止めるかのようなリアリティを感じます。
親身になって話を聞く主人公が…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ほっとする場所、ほっとする味。それが、屋台のおでん。
私は大根が一番好きです。
だぎゃーな文化圏に住んでいるので、これに味噌をつけて食べるのがジャスティス。
出汁の色に染まる程に煮込まれた大根って、なんであんなに蕩ける美味しさになるんでしょうね。
そう、それはまるで甘い果実のようです。
これには思わず白米も進むというものです。
……おでんで白飯は普通ですよ?
おでんのある風景というだけで、温かな雰囲気の空間というのが思い浮かぶのは、日本人としての性でしょうか。
そしてそんな温かな場では、人々の心もほわっとほぐれ、悩みの糸口が見いだせたり、緊張やわだかまりもほぐれたりするというもの。
ここに人生経験の深い人情派の親父さんなんかがいたら完璧です。…続きを読む