概要
彼女は姿を消した――最愛の《声》だけを残して。
盲唖の天才ピアニスト・白石蒼葉。その恋人である沖矢望加は、ある日突然姿を消した。
ただひとつ、デバイス《ECHO》に「声」だけを残して。
ECHOと暮らす蒼葉の前に現れた、謎の逃亡者・明司。
明司は、蒼葉に「ECHOを渡せ」と迫る。
明司を追う組織に襲われ、2人はともに逃走する運命へと巻き込まれていく。
2人を結びつける望加の声。
その声には、世界を揺るがす《価値》と、隠された《罪》があった。
彼女の《声》が世界に再び響こうとするとき
蒼葉と明司は《最愛の声》を――「守る」のか、「壊す」のか。
ただひとつ、デバイス《ECHO》に「声」だけを残して。
ECHOと暮らす蒼葉の前に現れた、謎の逃亡者・明司。
明司は、蒼葉に「ECHOを渡せ」と迫る。
明司を追う組織に襲われ、2人はともに逃走する運命へと巻き込まれていく。
2人を結びつける望加の声。
その声には、世界を揺るがす《価値》と、隠された《罪》があった。
彼女の《声》が世界に再び響こうとするとき
蒼葉と明司は《最愛の声》を――「守る」のか、「壊す」のか。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!卓越した表現力によって暗黒の世界を色づかせる圧倒的な愛の物語
感覚補助デバイスECHOを使用する盲唖の天才ピアニスト・白石蒼葉。
ECHOは使用者が発した音声・周囲の音・記録された声。
それらの情報を直接、使用者の脳に「色」「質感」「圧力」といった形で提示する。(第一話より)
まず本作の主人公『蒼葉』は盲唖(目が見えず口が聞けない事)である。
そんな蒼葉の一人称視点語り。
これがどれほど無茶苦茶かは、書き手でなくとも想像に難くないだろう。
そんな無茶苦茶に、作者である依近様は真正面からぶつかり、作品の魅力として昇華している。
盲目でありながら読み手には状況が伝わり、盲目である事をも読み手に理解させている。
こんな無茶苦茶があるだろうか……続きを読む - ★★★ Excellent!!!松島や ああ松島や 松島や
何の脈絡も無いレビュータイトルで申し訳ありません。
しかし、本作の魅力を一言で伝えるには、
この有名な一句より適切な表現が思い浮かびませんでした。
本作に触れた感動を表現する術を、私は知りません。
圧倒的な没入感。行間から溢れんばかりの情感。共感覚的な五感の描写。
そのどれもが、文筆の超絶技巧とも言うべき、極めて高度な営みに思える。
と言うのも、私も本作と同じ盲目の主人公で小説を書こうとしたことがあるからです。
しかし、あまりも難易度が高くて挫折しました。
これだけの長編の描写を盲目視点で続けて矛盾や破綻を生まないことが、どれ程困難か。
私も連載中の作品で音楽を共感覚的に表現すること…続きを読む