熊猫パンチドランカー
藍澤ユキ
オープニング★アクト
五曲目も終盤に差し掛かり、ライブハウスはすっかり興奮の
ステージ中央に仁王立ちで構える混沌の主。ゆるふわの銀髪セミロングにはフリルのカチューシャ。黒いベルベットのミニワンピースに純白のエプロンドレス。フリルのアンダースカートからは、白いオーバーニーソックスに包まれた形の良い脚がのぞいている。その先には、エナメルのワンストラップシューズの艶かしい黒い光沢。
それは完璧なメイドのアイコンだった。
スネアとツインペダルから繰り出されるタイトなリズムに、うねりながら絡みつくベース。そこへ中音域の持ち上がった甘く太いフライングVのハムバッカーサウンドが重なる。
メイド衣装のシーナはバンドに演奏を続けるように指で合図をすると、ラインストーンやラメシールでデコられたクリームホワイトのレスポールカスタムを、ゆっくり肩から外してスタッフに手渡した。
そのままシーナは自由になった両手をおもむろにアンダースカートの中に突っ込むと、腰を
数回くるくるとさせると、シーナは回す指を止めた。人差し指にはクシュッと丸まったシュシュのような白い布玉が引っかかっている。
パンツだった。
「変態さんたちーっ! 好きなだけくんくんぺろぺろしちゃってねっー♡」
シーナはそう言うとフロアに向かってパンツを思いっきり放り投げた。
会場のテンションは異様な盛り上がりを見せる。床を踏み鳴らし、指笛と笑い声と怒声と歓声と嬌声が交じりあう。もはやフロアは阿鼻叫喚の様相を呈していた。
あまりの出来事に呆然とした
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます