荒ぶるSGは(チェリー・レッド)
「昨日の変態ゴスロリ女、いま思い出してもホント、ムカつくわっ!」
翌日、バンドは日中に練習を予定していた。シーナたちは東新宿を目指して歩く。
「しかし、見たかったなぁ。俺らの所からは何やってんのかわからなかったんだよな」
シーナの横を歩いていた辰生が、残念そうに首を左右に振りながら続ける。
「女の子同士の背徳的なカラミ。いいねぇ。俺、結構イケるな。そういうの」
「バカ言わないでよねっ。こっちはそういう趣味はないっての」
辰生の無責任発言につっかかるシーナ。ジロリと鋭い視線を向ける。
「でも、観せるショーとして、ちゃんと計算しているようだったよ。名前もインパクトあるっていうか、パンチが効いてるし」
晶良がそう感想を漏らすと、辰生が尋ねた。
「名前、なんだっけ? なんとかどうのこうの地獄」
「喀血少女冷凍鮪ノ地獄。なんか覚えちゃいましたよ」
「意味わかんない。趣味悪い」
口を尖らせながらシーナは悪態をつくと、眉を顰めてみせた。
「意味がわからない点では負けてないんじゃないか……」
「なにっ!? なんか言った!?」
晶良の漏らした小声を、シーナは聴き逃さなかった。
一同がスタジオの見える場所までやって来ると、入り口の前で手を振りながらピョンピョンと跳ねている薫の姿があった。
「シーナさんっ! 大変ですよっ!」
シーナたちが側まで近づくと、薫は慌てたように駆け寄って来た。
「まぐろさんですよっ!」
「はぁ?」
シーナは薫の後ろにいたユージの顔をちらりと見やった。今日はめずらしく早く来ていたようだ。すると、ユージはスタジオ入口の中を顎で示してきた。
シーナが視線をそちらへ向けると、ゴスロリファッションに身を包んだ、ピンク髪の女の子が壁に寄りかかっていた。
「まぐろじゃないわ。小女子よ」
ゆっくりと壁から背中を離しながら、小女子は呆れたように訂正をしてきた。
「あんた、昨日の……なんでここに?」
シーナが驚いて尋ねると、小女子は軽く鼻で笑う。
「探すのは簡単だったわ。あなたたち、この辺じゃ結構有名なのね」
小女子は、壁に貼られた熊猫パンチドランカーのステッカーを優しく愛撫するように指で撫でた。
「単刀直入に言うわ。シーナ。あなたはわたしのバンドに入るの」
「……あぁっ? 意味わかんないんだけど」
シーナは頬を引きつらせながら、半眼になって尋ねる。
「あら? そのままの意味よ?」
さも意外といった反応を見せる小女子。ただでさえアイメイクで大きくなっている眼を、さらに大きく見開く。
「なんで、あたしが、あたしのバンドを辞めて、あんたのバンドに入んなきゃいけないわけ?」
シーナは、苛立ちをどうにか抑え込んでいるといった様子で、肩を震わせながら再び尋ねた。
「わたし、好きなものは手元に置いときたいタイプなの。恋人にしてあげるから、わたしの所へいらっしゃい」
「はぁーっ!?」
小女子の妄言に素っ頓狂な声を上げたのは薫だった。
「なんでシーナさんが、あなたの恋人になるんですかっ!?」
すると、小女子は薫の方をじっと見つめて片眉を少しだけ上げた。
「あらあら。あなたも関係者だったのね。いいわ、あなたもいらっしゃい。可愛いものは歓迎するわ」
そう言って、小女子は薫の頬にすっと手を添えると、ニタリと口角を上げてみせた。
「えっ!? あっ、いや、そういうことじゃなくて……」
艶かしく怪しい光沢をぬらつかせる小女子の唇を見た途端、薫は昨日の事を思い出して狼狽えた。
「いやいやっ! 誰もあんたのバンドなんて入らないわよっ!」
薫の頬に添えられていた小女子の手を、シーナがしっかりと掴む。
すると、小女子は呆れたように深々とため息をついた。
「仕方ないわね。音楽でねじ伏せてあげる」
言うと、小女子は壁に立て掛けてあったギグケースに視線をやる。
『喀血少女冷凍鮪ノ地獄』と書かれた千社札が貼ってあることから、小女子のチェリー・レッドのSGだと予想がついた。
「いいわよ。返り討ちにしてやる」
シーナは肩に掛けたクリスティーンをケース越しに軽く叩いた。
「最初にストーンズ演るけどいい? 嫌なら変える」
「構わない。わたしも好きよ」
小女子の答えを聴くと、シーナはホワイトボードにコード進行を書いた。
「あら親切なのね。別に要らないのに」
「一応ね。勝手に曲を選んだし、そっちのヤツは怪しいから」
言って、シーナはペン先をビシッと晶良に向けた。
「んっ? 大丈夫だよ? んで、何を演るのさ?」
晶良が気負った様子もなく暢気に尋ねると、シーナはギターのボリュームノブに指を掛けてすっと回した。そして、ピックを握り直すと、静かにイントロを弾きはじめる。
『Gimme Shelter』
緊張感のあるフレーズが、不安と期待をジワジワと煽る。続いてユージが小さくリズムを取りはじめると、すぐに小女子が合わせてきた。
いくつかのエフェクターを脚元に並べていたが、小女子の音は昨日のような強烈に歪んだ硬質な音ではなく、ナチュラルにオーバードライブさせた素直で甘いトーンだった。
二本のギターが絡みだして曲が動きだすと、辰生がゆっくりと加わり、晶良がコードを鳴らしていく。
――あぁ、嵐がオレの生命を脅かすんだ
音が揃ってシーナのボーカルがはじまると、メロディーラインの裏で小女子がブルージーなフレーズを
その瞬間、みんなの視線が交わされて、一気に場の空気が変わる。そして、間奏に入るタイミングでシーナがソロを取ろうとすると、小女子が先にその頭を押さえた。
ブルースフレーズで入った次の瞬間、弦をピックで撫でるようにスウィープをしてみせると、そこからの速弾きクロマチック。そして、流れるように両手タッピングをはじめると、シンセサイザーを彷彿とさせる高低差のあるリニアなフレーズを弾いてみせた。そのテクニカルでトリッキーな早技のオンパレードは、まるで特撮映画のワンシーンのようだった。
シーナが時々演ってみせる速弾きやタッピングは、あくまでハッタリをかますための飛び道具だったが、小女子の技巧はまるで次元が違っていた。
だが、小女子の凄さはそれだけではなかった。単なるテクニックの誇示で終わらずに、現代的なアプローチでブルースを解釈してみせたのだ。それは、ブルースの再構築とでもいうような鮮烈なプレイだった。
そんな小女子の演奏に、スタジオにいる全員が目を見張った。昨日のライブでは、いまのようなテクニカルなプレイを一切演っていなかったこともあり、その衝撃は大きかった。
呆気にとられているシーナを横目に、ソロが終わるとボーカルも小女子が取りはじめた。ソウルの影響を窺わせるエモーショナルなボーカルスタイルは、まさに圧巻の一言で、バンドを一気に呑み込んだ。
ある種独特のグルーヴが場を支配すると、いつの間にか演奏はフリージャムへと変わっていた。小女子のフレーズにユージが跳ねたリズムで反応してみせると、辰生がピタリと合わせてくる。そこへ晶良が歯切れの良いカッティングを乗せると、また違うグルーヴが生みだされた。
すると、出遅れていたシーナが、本領発揮とばかりにフロントピックアップの野太いトーンで、チョーキングを多用したブルージーなフレーズを
シーナと小女子。
二人のギターは混じりあいながら反発しあう。安定感をみせたかと思うと、すぐに緊張感が満ちてくる。そんな繊細なバランスにある二つの音を、ベースが巧みにつなぎ合わせて、ドラムとカッティングが織りなす、揺れ動くリズムに乗せてやる。
いま、この瞬間、この部屋には、肌の粟立つような、眩いほどのマジックが存在していた。それは、パズルのピースがすべてあるべき所に嵌るような、そんな完璧さをもってそこに存在していた。
その一部始終を体感していた薫は、息を呑んだまま身動きができなかった。こんな凄いものに自分だけが触れている。その事実に、言い知れぬ優越感を感じると共に、このマジックを誰にも観せられないことに、苛立ちを覚えずにはいられなかった。
――この瞬間がいつまでも続けばいい。
身体を這い上がってくる感覚は、終りのない快楽のように背筋を震わせた。
あっという間だった。
気がつくと、照明が点滅をはじめていた。
練習時間の終了を無感情に知らせている。
誰もがこのマジックを感じていたからこそ、誰も口を開けなかった。
一人を除いては。
「わかったでしょ? わたしと一緒に来るのよ、シーナ」
小女子が自信に満ちた微笑を、ニタリと口元に浮かべる。
「あんたが凄いのはわかった。けど、あたしがバンドを放り出す理由にはならないわ」
マーシャルのスイッチを落としながら、シーナは小女子の方を見ずに答える。
「返事を急いではいないわ。わたしがいつでも受け入れてあげるってことを、今日は伝えに来ただけ」
楽しそうに言うと、小女子は細かいレース飾りの付いた小さなポーチから何かを取りだした。
「招待状。好きな時に遊びに来て」
それは色も飾りも何もない、至ってシンプルな封筒だった。
小女子の手からシーナへと渡されると、シーナは無言のまま封筒を裏返した。封筒は封蝋で閉じられていて、何かの紋章が捺されていた。
それを確認すると、シーナはおもむろに封を破きはじめた。
「あぁっ、それじゃあ情緒ってものがないわ、シーナ」
外連味たっぷりに、大げさに呆れてみせる小女子。
封筒から出てきたのは鍵だった。
「なにこれ?」
シーナが眉をひそめながら、眼の高さに鍵を摘み上げる。
「わたしの部屋の鍵。好きな時に遊びに来て」
「そんなモンいらないからっ!」
シーナが鍵を返そうとして小女子の手を取る。
「ダメよ、シーナ。一旦は受け取るの。それでも要らなければ、あらためて返しに来て。これは、もう一度会うための約束なの」
「そんな約束いらないわよ」
小女子の手に無理やり鍵を握らせようとするシーナ。
「わたしの所へくれば、あなたの求める音があるわよ」
そう言って小女子が薄く笑うと、シーナの手がピタリと止まる。
「興味があるはずよ、絶対に」
自信に満ちた様子で小女子はシーナの目を覗き込む。
「デスメタルをやるつもりはないわ」
「それだけじゃないのは、もう知っているでしょ? いまはそれが一番面白いってだけ」
小女子は自分の腕を掴んでいるシーナの手を、もう一方の手で上から優しく撫でた。
「待ってるわ。わたしを忘れられないようにしてあげる」
言うと、小女子はすっと撫でていた手をシーナの肩へとやって、流れるように半歩踏み出した。すると、シーナは小女子の手を振り払って、勢いよく飛び退いた。
「二度目はないわっ」
迂闊に小女子の間合いに入ると、なにをされるかわからない。シーナは警戒心を剥き出しにして、小女子との距離をとる。
「あら、残念。じゃあ、こっちかしらね」
小女子はクルリと半身を捻ると、横にいた晶良の顔を荒っぽく両手で掴む。そして、そのまま、柔らかいジェラートにでも唇を滑らせるように、晶良の唇を蹂躙しはじめた。ねっとりと押さえつけながら、唾液まみれになるのも厭わずに舌を口腔へと侵入させていく。
「ふぬっ!? むふぅっ!?」
晶良が目を白黒させながら、顔を赤くしていく。
「ちょっ、あんたっ!? なにやってんのよ!?」
シーナが慌てて小女子の両肩を後ろから掴む。すると、
「アッキーさんになんてことをっ!? ちょっと離れてくださいっ!」
向こうでは薫が晶良の肩を掴んで引き剥がそうとしていた。
「小女子さんっ! あなたは女の子が好きなんじゃないんですかっ!?」
引き剥がした晶良を隠すように、薫が小女子との間に身体を入れる。
「だから言ったでしょ? わたしは可愛いものが好きだと」
紫色の唇に人差し指を滑らせながら、小女子は意味深に呟いた。
「……えっ? ってことは、小女子さん。もしかして……」
薫が探るように尋ねると、小女子はニヤリと口の端を上げて微笑んだ。
「わたし、ジェンダーの束縛とは無縁なの」
小女子はゆっくりと数歩踏み込んで両手を伸ばすと、薫と晶良の頰にそっと触れた。
すると、後ろの方で見ていた辰生がポツリと洩らした。
「んー、エライことになってきたな。しかし、アッキーばっかりモテて羨まし……くないな今回は、別に」
辰生は、無意識のうちに思ったことをそのまま口走っていたようで、それに気付くと、慌てて口を噤んだ。
「……ちなみに訊いちゃうけど、それはなんで?」
辰生のセリフを聴き逃さなかったシーナが、肩越しに振り返りながら尋ねた。
「えっ!? いやだってさ、メイクで顔わかんないし、前だか後ろなんだかわからん貧乳ぶりじゃあ痛えっ!?」
少しだけ中身の残った、ボルヴィックのペットボトルが投げつけられた。
「たっちん、あんたオンナの敵ねっ」
シーナがジロリと辰生を睨めつける。
すると、小女子が無表情のまま、辰生とユージを順番に指差した。
「あなたとあなたはダメよ。可愛くないわ。まぁ、こっちの彼は惜しいけど、だらしない感じが美しくない。あなた方がわたしを性的な眼で見ようなんて、身の程を知るべきね」
侮蔑の視線を向けながら、小女子は鼻で笑ってみせた。
「ったく、おまえのせいで、とばっちりじゃねぇか」
ユージがドラムスティックで辰生を突きながらボヤく。
「それに、普通のメイクなら、なかなか可愛いんだぞ、彼女」
「なんでわかんだよ? 特殊メイクばりだぞ、あれは。それによ、普段からあの格好って、だいぶイッちゃってる痛えっ!?」
辰生を目がけて、今度は伊右衛門の緑色のペットボトルが飛んできた。
胸板に当たって弾んだところを、辰生が自分でキャッチする。
「あのねぇ、キミたち。物は投げちゃいかんでしょうに」
辰生は薫とシーナへ視線をやると、わざとらしくため息をついてみせた。
「たっちんさんが悪いですよ。ペットボトルは当然の報いです」
薫は口を尖らせながら、ペットボトルを渡すようにと手を差し出した。
辰生が軽く投げて返すと、薫はペットボトルを両手で受け取る。
「んで、ユージ。なんで彼女が可愛いなんてわかんだよ?」
まったく懲りた様子もなく、再び辰生が尋ねると、シーナと薫が頰を少し引きつらせる気配があった。
「小女子ってアレだよ。なんかの雑誌でモデルやってるよ。読者モデルっていうの? 普通の格好してんの見たことあるんだよ」
「ほう。んで、なんで、おまえがそんな雑誌のモデルを知ってんだ?」
辰生が胡乱な目をしてユージを見やる。すでに回答を予期しているようだった。
「いや、その雑誌に出てる娘と、ちょっとした知り合いでね」
「ほーっ、知り合いねぇ。おまえの知り合いってのは、どういう関係性を言うのかね?」
腕組みをした辰生が、指先でイライラと肘を叩きながらユージへと尋ねる。
すると、つまらなそうに頭を掻きながらユージが答えた。
「一回寝たなら、知り合いじゃないかな」
「おいっ、こいつの方がよっぽどオンナの敵じゃないのかよ!?」
そう言って、女性陣の方を振り返る辰生。
「いや、あんたたち、どっちも敵だから」
シーナが白い眼を二人へ向けながら切り捨てた。
その時、ガチャリと扉の開く音が室内に響いた。
全員が扉へ視線をやると、身支度を整えた小女子が出ていくところだった。
「じゃあ、さようなら。シーナ、こんな下品な連中と一緒にいると、いつかあなたも綺麗じゃいられなくなってしまうわ。気をつけて」
そう言い残すと、小女子はそのまま出ていってしまった。
「おまえも十分過ぎるぐらいに下品じゃねぇかよ、変態ゴスロリ女」
閉められた扉を見つめながら、辰生が悪態をつく。
「なかなか強烈な娘だったなぁ。シーナ、鍵を貰ってたけど行くの?」
晶良が何気なく尋ねてみると、シーナがビクッと肩を上げた。
「い、行くわけないでしょ!? やめてよねっ」
シーナは明らかに動揺しているようだった。微妙な空気がスタジオの中に滞留しはじめる。
その後、なんとなく会話が途絶えたまま、バンドは黙々と機材を片付けると、今日の練習は終了となった。
次の練習日。
シーナは誰の目から見ても様子がおかしかった。妙な速弾きをしてみたり、タッピングで延々とソロを取ってみたりと、どう考えても小女子を意識したプレイをしていた。
演奏性を確保するためなのか、ギターの位置も高めになっている。腰下でさげるように低く構えるのがシーナのトレードマークのひとつなのに、それすらも放棄したような今の姿は、かなり違和感があった。
「おい、アッキー。シーナちゃん、どーしたんだよ? あの変態ゴスロリ女の真似をはじめちゃったぞ?」
辰生がなかば呆れながら晶良に尋ねた。晶良にしても、この変貌ぶりは理解の外だった。
「なんでしょうね……。変なスイッチが入っちゃったみたいですね」
そんな周囲の反応をよそに、シーナはひとりで、ああでもない、こうでもないと、熱心に運指を確認していた。
「シーナ、どうしたんだよ? らしくないじゃないか。そんなに影響されやすかったっけ?」
晶良はみんなが感じている疑問を口にしてみた。
「んー、あたしだって普通に人のプレイには影響されてきたし、死ぬほど羨ましく思ったこともあるわ。でも、今回のこれはちょっと違うの。よくわからないんだけど、あたしにとってはすごく重要な気がするの。胸がざわついて、でも正体がわからなくて、とにかく気持ちが悪い」
「単純に影響されて真似をしているわけじゃないってこと?」
シーナの眼を見ながら晶良は尋ねた。なんとなく、そこに浮かぶ色を晶良は確認したかった。
「あたりまえでしょ。やってみることでしか、答えは出ないと思うから」
レスポール・カスタムの滑らかなネックをゆっくりと摩りながら、シーナは真剣な表情で唇を引き結んだ。晶良はそこにシーナの本気を見てとると、辰生とユージの方を向いて肩を竦めてみせた。結局、その日のシーナは、練習の最後まで、あれこれと独りで試行錯誤を繰り返していた。
そんな練習の翌日。部屋でギターの調整をしていた晶良の元に、一本の電話が入った。
めずらしくシーナからだった。
彼女から晶良に電話をしてくることは滅多にないので、晶良は嫌な予感を覚えつつ電話に出る。
『あっ、あたしだけど……あのさ……あたし、やっぱり小女子と一緒にやってみたいの。勝手なことだってのはわかってんだけど、次回以降の練習は、あたし、参加できないわ』
「ちょっ、シーナ!? それってどういう意味だよ!? バンドはどうするんだよ!?」
『みんなには、あんたから謝っといて。じゃあ』
「おいっ、シーナ! 待てって!」
取り付く島もなく、シーナは一方的に要件を伝えると電話を切ってしまった。晶良の方から急いでかけ直してみても、シーナの携帯は電源が切られていた。
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