草原を渡る風のなかに、聴こえる物語

架空の遊牧騎馬民族を描いた興亡史です。

イゼカ族の一の戦士ヤエトは、現族長の次男の後見を任されていた。族長の三人の息子たち、それぞれの成長を見守る日々。ある日、南方の新興国アルヤから、使者が訪れる。イゼカ族に、軍人奴隷として傘下に入れと言うのだーー。

広大な草原で遊牧生活を送る少数部族の民俗が、丁寧に描かれていて、民俗好き、遊牧民好きにお薦めです。他民族との交易を行い、緩やかな支配を拡げる定住民国の文化との対比も見事です。何より、部族の未来をかけて葛藤を重ねるヤエトたちの思いが、少年たちの成長と生きざまが、胸を打ちます。
草原を馳せる馬蹄の音、その風の匂いを感じて下さい。

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