戦士の誇り高き魂は、風とともに草原を駆ける。

イゼカ族一の戦士エザンは、族長の次男ヤシェトの教育を託されている。
そのヤシェトも成人し、エザンたちから若者へ世代交代しつつある頃。
新興のアルヤ王国が使者を寄越し、支配下に入るよう告げてきた。

草原の騎馬民族を描いた架空歴史ものです。
温厚な長男ナズィロフや、年齢の割に聡明なニルファルに比べると、ヤシェトは血の気が多い。
違う時代ならばヤシェトの気性の激しさは、誇り高い戦士として有用かもしれない。
しかし、今までの常識が通用しない事態を前にして、無謀な行動は、一族の滅亡に繋がる可能性がある。
戦士として生き、自分に知恵はないと思っているエザンは、それでも思い悩む。
どうすることがイゼカの、ヤシェトのためになるのか。

三兄弟の性格の違いによる、それぞれの言い分。
族長の、部族全体を考えなければいけない立場と、父としての感情。
エザンも、族長及び族全体への忠誠と、ヤシェトの後見役としての思い、実子への愛情。
イゼカとアルヤ王国、既にアルヤに下った部族などの思惑が絡み合いながら、物語は進んでいきます。
そして、激動の果て。
戦士の中の戦士、エザンの生きざまを、どうぞご覧ください。

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