とても美しくて哀しく、愛に満ちた名作です。
優しいオルゴールの音色のような叙情的文章が、愛する人を失ったヒロインの哀しみと再生の物語を語ってくれます。
人は死んでも消えてしまうのではない。
愛する人の胸の中でずっと生き続ける。
思い出は残された人間を哀しみの沼に溺れさせるけれど、いつかきっと、未来へと踏み出す勇気をくれる優しい記憶となるはず……そう思わせてくれる素晴らしい物語でした。
そして、この小説の魅力は葵と彼女をめぐる人々の人間ドラマだけではありません。もう一つの魅力は、「星作り」というファンタジックな要素です。夜空の星の瞬きは人々の哀しみだった……という設定が非常にロマンチックで童話的だなぁと感動しました(私は児童小説とかも好きなので)。
葵のこれからの幸せを祈りつつ、こんな素敵な物語を生み出してくれた作者様に最大の感謝をしたいと思います。
素晴らしい作品、ありがとうございます!
大切な人を失った彼女の傷が、だんだんと『過去』から『今』になっていく様子を見守りながらゆっくりとページを捲りながら読ませて頂きました。
切なくて、それでもまた前を向きたくなります。いないはずの遼さんの思い出が、写真が、葵に影響を与えていく心理描写がとても素敵でした。
全てが心地よい終わりでは無いですが、だからこそ私はこの物語を手に取れて良かったなと思います(^-^)
幸せだけを手に入れたのでは浮かべる事の出来ない彼女の表情が思い浮かびました。
切なくて、悲しくて、微笑ませてくれて……とても素敵なお話です。読ませて頂き、ありがとうございました(’-’*)♪
愛する二人に訪れた、あまりにも悲惨な出来事。
受け入れがたい現実に途方に暮れる彼女。
そんな中、不意に登場するシュテルン・マッヘン。偶然とは思えない、不思議なアイテムとの出合いにより彼女の物語は動き出します。
ストーリー自体は単純でわかりやすく、ラストはハッピーエンドに向かっているのが予想できますが、注目すべきは、そこに至る過程の抒情的な描写です。心に染み入るような描写が丁寧に描かれていて、ボクなんか最初から彼女に感情移入してしまい、物語の一部と化してしまいました(笑)
冒頭に衝撃は走るものの派手なアクションや演出はなく、フラットな物語が淡々と進むのですが、それでいて読者を飽きさせないのが作者の技量だと思います。それで3万字もたせるって、ある意味スゴイと思います。誤魔化しが効かない中、しっかり文章が紡がれてる証拠です。
ラストは賛否両論あるかもしれませんが、幸せの形はひとつではなく、そこに至る過程も千差万別です。個人的には、この小説は「過程を味わうもの」だと思いました。読んでいると、文章の持つリズムと期待感で心地良い気分にさせてくれます。
女性はもちろん、男性にもぜひ読んで欲しい秀作です。