北風と太陽。「扉」を開けるのは、もちろんこちらですぜ!

この物語にはいろいろなキーワードが出てきます。
念力、親子、友だち、孤立、仔猫、本、月、懐中時計、そして卒業式、色紙、兄妹、成長。
その一つひとつはありふれた言葉ですが、テーマである「扉」を開くために欠かせない、とても重要な言葉たちなのです。

超能力が主体ではありません。
でもその異能を持って生まれてしまったために、閉ざさずを得なかった「扉」。どうやったら開け放してあげられるのか。
主人公の少女は悩み、焦り、苛立ちます。
その微妙な、繊細な心の動きを見事な筆さばきで見せてくれ、一本の温かな小説として練り上げられています。

「扉」は力では開きません。
対価を求めぬ至極の愛。
読了後には、誰もが感無量となることでしょう。

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