読み終わった後のカタルシスが感じられなかった

 横浜駅が自己進化を続けるという設定は面白い。
(なぜ横浜駅なのか関西人である私にはわからないのだが、おそらく地元民や関東の人にわかる何かがあるのだろう)
 文章や構成もしっかりしてるし、SFに一番重要な「架空の技術をそれらしく見せるハッタリ」もよくできている。

 ただ、最後まで読んだ後に残るものがなかった。少なくとも私には。
 映画でもドラマでもゲームでも、もちろん小説でも、面白い作品というのは、最後まで見終わった/やり終わった後に「あそこのシーンが良かった」「あそこの演出に感動した」「あのキャラが魅力的だった」というのがあるものだが、この作品にはそう感じられるものがなかった。

 ではこの作品が面白くなかったのかと問われると、そんな事はない。少なくとも、一話を読み始めてから増発の最終話まで一気に読了するぐらいには、私の興味をそそるものではあった。
 おそらく、主人公にこれといった志や信念があったわけではなく、旅の途中で成長するでもなく、ただ流されるまま結果的に何かを為しただけという点が、私の心に響かなかったのだろう。そこが残念だったので★2とさせていただいた。飽くまでも個人的な好みの問題であると理解していただきたい。

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横浜駅SF

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