ほろ苦く、えぐく、そして刺すような真相があなたを待っている


「高校二年の夏。あたし、川原かわはら鮎あゆは好物だった喫茶・カントリーローグ謹製ゆるふわエッグバンズを二度と食べることができなくなってしまった」

作者は、この冒頭から飛び降り自殺の凄惨な描写に続く流れだけで、もう十分読者を引き込むか飽きられるかの勝負に勝ってます。こうなるともう、続きを読みざるをえないのです。なんかもう、良かった点がいっぱいあります。

・まずキャッチコピーが秀逸。読む前も秀逸と思ったけど、読んだらまた2倍秀逸。

・怪人ジャンピング・ジャックが提示する意味不明の飛び降りゲーム、共通点の見えない被害者に、屋上の密室……「本当に、こんな不可解な現象に、合理的な説明がつけられるのだろうか?」と終始不安になるほどの謎。読めばこの謎の魅力に引き込まれることでしょう。

・その謎にちゃんと合理的な解明を見せるだけならまだしも、そこにキャラクターの性格や事情を絡め、種明かしにドラマをもたせてる点も評価に値すると思います。そして真相解明編でのどんでん返しまでついているという。

・あと高校生らしい語り口もですが、彼らの切ない事情をドロついた深みにはまらない程度に書いているのも良いですね。あの携帯画面とか。

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