騎士と姫君の壮絶なる逃亡劇。そして、優しさという強さを知る物語


主人公である聖騎士・ブレイヴとその幼馴染であり姫君でもあるレオナは、姿の見えない渦巻く陰謀に陥れられ、なし崩し的に国を追われる身となります。
重厚で趣のあるファンタジー世界を下敷きに展開される、本格的な戦記×手に汗握る逃亡劇。

誰が味方で誰が敵かもわからない緊張感漂う展開が続くなか、それでもブレイヴたちを匿ってくれる優しき人々の良心に胸を打たれます。
なによりもまず、主人公であるブレイヴが「あまり人を信用しすぎるな」とたしなめられるほど人の良い青年です。レオナも同様に、困っている人がいたら自らを顧みず行動してしまう優しい心の持ち主です。
ときに己の甘さに苦悩する彼らですが、その優しさこそが強さであるのだと、この物語は教えてくれるような気がします。
話が進むにつれて主人公たちを取り巻く状況は悪化し、悲惨な現実に直面しなければならないこともでてきます。
悩み苦しみ、それでも自らが守るべきもののために必死で前に進む彼らを、応援せずにはいられません。

美しい文章で綴られる複雑な人間模様、登場人物それぞれが抱く葛藤といった心情の丁寧な描写は、本作における見どころのひとつでしょう。
そしてやはり、見逃せないのがブレイヴとレオナの淡い恋愛模様です。
今後彼らがどのような未来を歩むのか、ともに見届けましょう。

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