概要
こちらの話は作中のある事情から、シリーズ一話目に当たる『樹木魚』に寄せた構成となっております。
少しでもお楽しみいただければ、幸いです。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!目端のきく男が光る土を見つけた。──これは、好機だ。そして村ができた。
ご存知の方は待望の、薬屋りんさんシリーズ新作!!
ご存知ない方は、自信を持ってお薦めするので良ければ「樹木魚」の作品から開いてみて下さいね。
こちらは、このままくすぶって人生終えてたまるかと新天地を求めた男がきっかけになる話ですが、あちらは村に残り続けた方のお話になります。
人生のシビアさを感じるお話でした。
人類は何度も飢餓を体験しているし、この国でも飢饉は幾度も起きています。
土地もそこから産み出せるものも無限ではなく、枯渇して無になることもあるからです。
退くか進むか、人生は選択の連続ですが、どちらに良い目が出るか、或いはどちらをとっても失敗するか、ほぼ運です。
だからこそ注…続きを読む - ★★★ Excellent!!!巡り合わせは人の目には読み解けない、その現実を突きつけられます
それぞれに生活に難渋して苦労と裏心を持つ二人の兄弟と、同じ里に生まれて二人の男性とそれぞれに関わりを持った一人の女性。彼らと彼女が暮らす里に、薬屋「りん」が訪れます。
「りん」は所謂「正義の味方」ではありません。主の命に従っていること、そして、主が人ではなく上位の存在であること。そんな「りん」が主の命を優先させたとなれば……
人は、富どころか、命すら軽いものになります。運命に翻弄される人間の姿が読者の心を揺さぶります。
かつて、自然を人間の手により作り替えるなど叶わなかった、「人新世」など夢物語であった時代に、人間が生きるとは野山の獣が餌を得ることと大差ありませんでした。かろうじて、服…続きを読む - ★★★ Excellent!!!自然と共に生きることは「籤引き」のように運任せ。ズルを出来る余地もない
必死に生きる人間と、自然や運命に翻弄される姿というものが心に響いてきます。
主人公の添助は、かつて祖父から「虹の土」なるものの話を聞く。その土のもとでは作物が他よりもずっと成長しやすくなるという。
彼には禾助という兄がおり、かつて「籤引き」によってどちらが田を引き継ぎ、更には同じ村にいる茅を妻にもらうかを決めたことがあった。
禾助は籤に細工をして茅も田も手に入れることになったが、子宝に恵まれずに茅とは離縁。代わりに添助が茅と結婚し、今は茅も妊娠中の身。
そんな兄弟の前に、「りん」という旅の薬屋が訪れることになります。
少ない資源の中で、必死に日々の糧を得ようとする兄弟。…続きを読む