『第三の口』：無形の囁き手の頌歌

　オカルト雑誌記者の神林宗介は、SNSで囁かれる都市伝説「第三の口」の取材を命じられる。体や物に謎の「口」が開き、囁き始めるという馬鹿げた噂。だが調査を進めるうち、それは単なるデマでは片付けられない、不気味な現実味を帯びていた。

　​頻発する異常な事件と、ネットの海に沈んだ匿名の告発文。全ての点が指し示すのは、山奥に存在する謎の研究施設と、そこに隠された「シャン」という禁断の存在だった。
　
　​真実に近づくほど、神林の日常は耳元で囁く“声”に侵食されていく。

　これは病か、陰謀か、それとも人知を超えた侵略の始まりか。
　
　静かに世界が狂気に沈む、現代日本が舞台のコズミック・ホラー。