概要
あらすじ
雅史(まさふみ)の住む街には、ある変わった制度が施行されていた。
結婚して第一子が生まれた場合、その母親は自らの配偶者(夫)を庭に生き埋めにしなくてはならないのだ。
雅史の家庭では、彼が物心つく前に父親は庭に生き埋められていた。
「お父さんは、どうして埋まってるの?」
雅史は素朴な疑問をぶつけるが、父親も母親も、「そういうものだ」と取り合わない。
そうして月日は流れ――。
小学生5年生に上がる頃、一人の女の子が転校してくる。
森野香織という才女。
彼女は、「生き埋め制度の謎を調べた」と言う。
彼女の調査が正しいかどうか、雅史は付き合うことになったのだが……。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!新説、モアイ像の由来
もしくはー……大貝獣物語に出てくるバイオベースですか……。
いやあ……こんな「絵」の物語は初めてでございまして。
とんでもないものを読んだ気がしております。
まず、この世界観が特殊にございます。
この街に住む男は、子供を産んだた十歳になるまでに、
地面に埋められるそうなんですな。
生き埋めと言うやつですが、殺すわけでもなく、肩から上は出してくれるみたいなので、それはまるでイースター島の景色のようなものです。
そして、生き埋めにしたことを申請すれば、その日の食費代には困らないのだとか。
なぜ……? 当然疑問が頭に浮かびますな。
なんでこんなことを?
それを、主人公と、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!どうしてお隣の夫さんは埋められているの? そしていずれうちも……。
「生き埋め制度」。奇妙奇天烈なこの日本社会に新たな制度が。
もしかしたら、いずれこんな制度が生まれてしまったら、あなたはどうしますか?
ファラドゥンガ様の描かれる不思議な世界は、日本のどこかで行われているやもしれません。
それは、自分の夫を庭先に埋めなくてはいけないのです。受理されたら、特別手当としてお金までもらえるんですよ。食費に困りません。
どうしますか? あなたなら、なんの疑問も抱かずに埋めますか? 夫を。
そんな疑問を投げかけてくれる衝撃の小説『お母さんがお父さんを埋めた日』。
面白いです。
ぜひ、オススメいたします。 - ★★★ Excellent!!!ようこそ、ここは、オンナがオトコを埋める街
いままで作者様が描かれてきた、ゾンビパニックでも、リリカルなファンタジーでも、スカッとする青春小説でもない
これは、新境地――「オンナの物語」であると思う
「結婚して第一子が生まれた場合、その母親は自らの配偶者(夫)を庭に生き埋めにしなくてはならないのだ。」
という街の設定からして度肝を抜かれたわけだが、なぜだか、埋められるのは、夫のほうと決められている
一見オンナ優位の制度
なのに、オトコは反抗せず、唯々諾々と埋められる
どうなっているんだ? と、読者は首をひねる
そこに、生き埋め制度の謎を解こうとするオンナノコ・香織が登場
主人公・雅史も、香織の調査に付き合うことになるのだが………続きを読む - ★★★ Excellent!!!唯一無二の不可思議で魅力的な世界観。ホラーあり、ミステリーありの傑作!
読み始めてすぐ、この世界観に魅了されました。
主人公の少年の住む町では、「お父さんを生き埋め」にすることが風習で決まっている。そしてお母さんがお父さんを生き埋めにする様子を目の当たりにする。
もちろん「生き埋め」となっているので、お父さんが土に埋まっても死ぬことはない。あくまでも土の中で生きたまま埋められている、という状態が続く。
……なんなんだろう、この不思議な世界は。
雰囲気的にはどことなく、諸星大二郎の「栞と紙魚子」シリーズを思わせる、シュールでコメディチックなホラーのテイストを感じました。
明らかに異質、そして不穏なことが実行されているのに、あくまでも「日常」の…続きを読む