もしくはー……大貝獣物語に出てくるバイオベースですか……。
いやあ……こんな「絵」の物語は初めてでございまして。
とんでもないものを読んだ気がしております。
まず、この世界観が特殊にございます。
この街に住む男は、子供を産んだた十歳になるまでに、
地面に埋められるそうなんですな。
生き埋めと言うやつですが、殺すわけでもなく、肩から上は出してくれるみたいなので、それはまるでイースター島の景色のようなものです。
そして、生き埋めにしたことを申請すれば、その日の食費代には困らないのだとか。
なぜ……? 当然疑問が頭に浮かびますな。
なんでこんなことを?
それを、主人公と、転校生の女の子が二人で謎を解いていくという物語なのですが……
これの真実がまた……
よくこんなの思いついたなあ。と思ってしまいますな。
例えるならまあ……伊藤潤二先生のホラーとかが近いのかな。
あまり今まで、考えたこともなければ、見聞きしたことのないものにございました。
一家の庭に、男性が埋められている。
そんな絵を想像しただけでもシュールというか、不条理味があると感じました。
お勧めいたします。
ぜひ、ご一読を。
「生き埋め制度」。奇妙奇天烈なこの日本社会に新たな制度が。
もしかしたら、いずれこんな制度が生まれてしまったら、あなたはどうしますか?
ファラドゥンガ様の描かれる不思議な世界は、日本のどこかで行われているやもしれません。
それは、自分の夫を庭先に埋めなくてはいけないのです。受理されたら、特別手当としてお金までもらえるんですよ。食費に困りません。
どうしますか? あなたなら、なんの疑問も抱かずに埋めますか? 夫を。
そんな疑問を投げかけてくれる衝撃の小説『お母さんがお父さんを埋めた日』。
面白いです。
ぜひ、オススメいたします。
いままで作者様が描かれてきた、ゾンビパニックでも、リリカルなファンタジーでも、スカッとする青春小説でもない
これは、新境地――「オンナの物語」であると思う
「結婚して第一子が生まれた場合、その母親は自らの配偶者(夫)を庭に生き埋めにしなくてはならないのだ。」
という街の設定からして度肝を抜かれたわけだが、なぜだか、埋められるのは、夫のほうと決められている
一見オンナ優位の制度
なのに、オトコは反抗せず、唯々諾々と埋められる
どうなっているんだ? と、読者は首をひねる
そこに、生き埋め制度の謎を解こうとするオンナノコ・香織が登場
主人公・雅史も、香織の調査に付き合うことになるのだが……
雅史の母親に代表される、街のオンナたち
香織のようなオンナノコの出現
そして、なぞの根源の……
おそろしいのに魅惑的な街
あなたなら、この街に住みたいと思うだろうか
ほんの少しでも思ったならば、あなたはもうオトコノコでも、オンナノコでもない
どうしようもないほどに、オトコかオンナなのだろう
引っ越しを考える前に、いちど覗いてみてはどうだろう
ただし、ツルハシを持ち帰るのを、お忘れなく
読み始めてすぐ、この世界観に魅了されました。
主人公の少年の住む町では、「お父さんを生き埋め」にすることが風習で決まっている。そしてお母さんがお父さんを生き埋めにする様子を目の当たりにする。
もちろん「生き埋め」となっているので、お父さんが土に埋まっても死ぬことはない。あくまでも土の中で生きたまま埋められている、という状態が続く。
……なんなんだろう、この不思議な世界は。
雰囲気的にはどことなく、諸星大二郎の「栞と紙魚子」シリーズを思わせる、シュールでコメディチックなホラーのテイストを感じました。
明らかに異質、そして不穏なことが実行されているのに、あくまでも「日常」の一部として受け止められる。そんな「不思議な日常」を前提として、主人公たちがそこで起こる出来事に対処していくという。
物語が進むにつれ、「生き埋めさん」と呼ばれる父親たちについての主人公の葛藤や、この町の風習の正体などが掘り下げられていく。
雰囲気も最良ながら、少年の心の成長を描くドラマもあり、ホラーとしての真実を探っていく展開でも読者を楽しませてくれます。
唯一無二な独特の世界観と、一本芯の通ったエンタテインメント。今までにない読書体験を得られる素敵な一作でした。
ゾンビがわらわら出てくる「○○デッド」シリーズで人気のファラドウンガさんの最新作です。
本作は、子供が10歳になるまでに、庭に父親の半身を埋めてそのまま生かしておくという、不思議な因習を扱った気味の悪いホラーです。が、どこか明るくて、親子愛に満ちていて、軽快に読み進めますが、だけど夫婦愛は……?
このあたり、実に、ファラドウンガさんらしい作品でした。
主人公の雅史が将来、埋まるのか羽ばたくのか、そして謎を追求した勇気あるレジスタンス、香織ちゃんがどうなったのかすごく気になります。。
言えることは、男性は、普段から自分を律して、品行方正に生きていきましょう。筋トレで発散しましょう。浮気なんかすると埋められて、チューチューと。。いやこれ以上は言えません。
ぜひ読んで確かめてください。
読み始めた当初は妊娠のメタファーかなぁなどと考えておりましたが、ジャンルがホラーとのことで因習の根っこの方に焦点を当てた作品だったと気づき驚きました。
通常イニシエーションと言えば子供が大人になる儀式ですが、この街ではおっさんがまるで懲罰のように因習に捕まっております。
生き埋め? 埋め生き? ナニコレぇ?
『お父っつぁんが埋められて生きてる』
なんとも間抜けでおかしな状況。でもそこから手放しで笑う下地をはぎ取られると、人は何とも心細く、薄暗い世界を俯瞰で眺めるホラー読書に早変わりしてしまいます。
世界観を歪めたら日常が狂気になる。
気を許した相手に脇をこちょばされると、アハハと身を捩りますが、まったくの赤の他人からされても、不快なだけでくすぐったくもならないそうです。(所さんの番組で知りました)
確かに自分で脇をボリボリ掻いても、くすぐったくは無いですし、『笑い』とは、そこに至るまでの前提を幾つも経由しないとたどり着かない不思議な感情です。
全ての感情の隣にあるがゆえ、たやすく取って代わられる『笑い』。
この世界では、因習を笑う者こそ狂人です。
さて、あなたの正気は誰が保証しますか?