概要
家族間の思い。
人は誰しも、繫がりの中で生きている。
しかし、複雑に絡まり合ってしまうこともある。
そういう中で、それでも生きていく――
短いのですぐに読めると思います。
以前に書いた同名タイトルを膨らませた作品です。
よろしくお願いします!
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!近くて遠い家族との距離
西しまこさんのお作を初めて拝読致しましたが、とてもよいお話でした。
純文学でありながら読みやすくて。
主人公の紗弥と、紗弥が苦手だった父親との関係をこまやかに描いた作品です。
家族だからと言って皆仲良しであるとは限らない、距離は近いのに心は遠いかも知れない。そんな当たり前のことを考え直しました。
ですが、絶縁していた父が亡くなったとき、ふと気づきます。実は、父の真意を受け取り損ねていただけかも知れない。そう思い至ったとき、紗弥の気持ちが決壊してしまうラストシーンは心に響きました。
よい作品だと思います。お勧めです。
だけど、応援コメント読んでたら、これ、西さんのことじ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!こちらこそ、今年の芥川、直木賞の本星やで!
登場人物一人一人を丹念に掘り起こしているようで、実は一人称の私視点でしか展開されないお話し。
当たり前と言えばそれまでですが、この一人称の私視点が、グイグイとワタシのココロに刺さってきます。
現在、ワタシの置かれている立場が驚くほどに主人公と重なる事(父はまだ存命ですが)、そして理由は何であれ、親と離れ、人生の袂を分けた感覚がどうにもココロに響いています。
兄弟との会話もここ十数年久しく、血縁であるが故に分からなくなってしまった感情の行き違いも、見事に描き出されており、思わず口に手をあて震えてしまいました。
人は大切なモノを失う時は鈍感になり、失った後に始めて気付かされる事があります…続きを読む - ★★★ Excellent!!!すれ違えども、ここに正解は、きっとない。
逆に、こちらを非難する「正解」が正しかったほうが救いがあるようなことって、
あるんじゃないかと思うんです。
でも、よほどのことがない限り、おそらくそれは、現実的ではない。
その隙間を、作者様は淡い日差しを掬うような静かな筆致で、描き出されています。
この物語はまるで、水に濡れると 浮かび上がる文字のようで、
父という存在の空白に浮かんだ言葉が、読み手の心情を様々に揺らしてきます。
私は、主人公・紗弥に近しい自分を思い、その選択に後悔はないだろうと思います。
それでもなお心揺さぶられるのは、作者様が描いていかれた、「畳のへり」という余白のためでしょうか。
上質な物語を拝読しました。 - ★★★ Excellent!!!姉妹の格差、兄弟の格差が共感できる作品。
父親の死。
姉妹での格差。
期待、それが叶わなかった時の諦め、そして自分は必要のない存在なのでは? と思ってしまうほどのきょうだいとの扱いの違い。
長女、長男、妹、弟。またその親。
どの立場からも共感できる作品。もちろんみんながみんなそうではない。けれどもどこかに必ずあるだろう、家族のかたちの一例。
そんな、既視感。
読んで損はないでしょう。
私は語り部である【紗弥】の立場で読ませていただきました。あなたはここに登場する【誰】と【自分】を重ねるのでしょう?
そのどれでもなくても、読み終えたあとのこの独特な苦しさ虚しさ。自分の気持ちに余裕のある時に読むのがおすすめ。
作者さまのこの…続きを読む