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山口政治は精神病棟にいる。もとは有名俳優だったが、今ではかつて演じた役名を名乗ったり、芝居の台詞らしきものをしゃべり続ける日々。「かつての山口」と「今の山口」を代わる代わる描きながら、物語は進んでいく。山口に何があったのか、読んでいくうちに様々なことを考えながら、気になってどんどん読み進めてしまう。そうして、いつの間にやらこの物語に振り回されてしまう……。そんな物語なのです。あなたは、演技と真実を、見分けることができるでしょうか。
かつて役者として人気があった主人公は、精神に異常をきたしている疑いがあるため精神病院に収容されている。個室の中で、彼はかつての栄光は忘れていないのか延々と様々な役を演じ続けている。まるで病室の中という現実に、虚構の世界を持ち込んでいるかのごとく。 彼の主治医と、彼が犯したであろう事件を追う刑事とが事件の真相と本質を明らかにするために、彼が関わった人々……恋人であったりライバルであったりの証言をもとに彼の過去を調べていく。 彼は何故事件を起こしたのか?何故精神病院に収容されているのか? ラストであなたを待つものは……。ぜひ、ご一読ください。
1985年を舞台としたミステリー。精神病院に入院している、かつて俳優だった男。彼が何者なのかを巡る物語です。1985年当時の社会情勢や雰囲気が非常に綿密に描かれており、その盤石の舞台設定の上で、とある事件と、その裏に何があるのかが、テンポよく描かれていきます。結末は勿論、読んで頂ければと思いますが、私は見事に騙されました。
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このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(739文字)
この物語の登場人物を、私は好きになれません。しかし、一人一人が「ミスキャスト」という舞台をつくっていく為に必要な役割を演じ切っており、大変興味を惹かれました。
80年代を舞台にある役者の過去と現在が交互に繰り広げられる…かつては役者として活躍していた主人公。しかし現在は精神病院の中であらゆる役を演じ続ける…主人公にとって何が現実なのか。虚構との境目が曖昧になっていく様子は、まるで映画や舞台を見ているようです!
この作品は、まるで舞台だ。主人公は精神病院に居る元俳優。役なのか、自分なのか、ないまぜに生きる。そこに、刑事がやってきた……。舞台の幕が上がった。これからの連載が楽しみだ。
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