邪神捜査 -警視庁信仰問題管理室-

作者 陸 理明

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★★★ Excellent!!!

通常、殺人が起こると犯人は「人」と考える。
主人公の刑事が担当した殺人事件も、ちょっと変わったいたが、犯人はヒトだと思っていた。
ところが現場にやって来た変わり者の警視は、あの神話が介在する事件だと見抜き、意外な方向へ流れていく―― 

物語は奇妙な殺人事件を解決するというミステリー。
現代社会の中で神話の中のモノたちが、何食わぬ顔で生活しているようすが描かれています。
神話を信じていない主人公目線で物語は進むので、神話を知らなくても楽しませてくれます。

★★★ Excellent!!!

ダブルバウンドとは、ある人がメッセージとメタメッセージが矛盾するコミュニケーション状況におかれることをいう。

この推理小説はまさにイメージのその通りだ。
人間による表のメッセージの裏にはメタな神話からのメッセージがこめられ、刑事たちはその二つの狭間で翻弄されていく。
表の常識の久遠、裏の神話世界を語る降三世。
二人の会話はコミュニケーションのようでいて、コミュニケーションではない。

だからこそ断言しよう。

これはダブルバウンドミステリーだ!

★★★ Excellent!!!

警視がとにかく人の話を聞かない自由人なのに、ちゃんと事件は解決して、その上でもう一つの事件……と言うか、警視の本業に入って行くという展開なんですが、久遠君の苦労がなんか、笑えて来ました。気が付くと二章目から勝手にキャスティングして頭の中でドラマが展開していて、役者さんがこのセリフを覚えなきゃいけないとなると嫌がらせ以外の何物でもないだろうなと思いつつ、実写になったら録画してみると思いました。後半、まさかの人物……人物? がレギュラー化して、より一層続きが楽しそうだなと思いました。

★★★ Excellent!!!

服を全て脱がされて全身を焼かれた奇妙な焼死体、ゴミ屋敷の庭に突如出現した死体、家族を他人と勘違いして殺してしまった男……、所轄署の刑事・久遠久の周りでは奇怪な事件が次々と起きる。

そして常人では解決できそうもないこうした事件に決まって顔を出すのが、警視庁の警視であり、信仰問題管理室に所属する降三世明である……あまりにも怪しい部署だ。
そしてこの降三世、事件の解決や犯人捜しには全く興味が無い。彼が興味を示すのはただ一つ、事件の裏にとある“信仰”が関わっているかどうかだけなのだ……。

というわけで所轄の刑事と警視庁のキャリアがコンビを組むという警察ものではお馴染みのバディものの本作品。前門の怪奇事件、後門の変人警視に挟まれて、久遠刑事が右往左往する様子が面白い。

また、本作では毎回事件の裏に特定の信仰が関わっているのだが、実は事件の謎を解くためにはそうした知識を直接必要としていないのが大きな特徴。最初は普通の推理で事件の謎を解く。しかし、その事件の裏には通常のミステリーではありえないこの作品ならではの秘密が隠されているという二段重ねの構成が楽しい。


(「カクヨムで読める冒涜的なクトゥルフ特集」4選/文=柿崎 憲)

★★★ Excellent!!!

まるで密教の拝み屋みたいな名前を持つ警視を探偵役に据え、様々な難事件を表と裏二つの視点から描き出しています。この二つの視点というのは比喩でなく正に〈表と裏〉……現代社会の病巣を思わせる怪事件に隠された、邪なる古のものどもが蠢く闇の世界を明るみに出すという意味において、これは紛うかたなき謎解きミステリであるのです。

『相棒』のあの人を彷彿させる変人警視との軽妙かつ珍妙なやり取りにニヤリとするもよし、ラヴクラフトの系譜に連なる異形のホラーとして元ネタを探りながら耽読するもよしの、一粒で何度でも楽しめる作品となっております!