概要
当作品は、架空の同人誌『玉紫 - 藤尾瑛臣綺譚集』の再録として書かれました。
体裁も書籍を模しており、章節ごとの文量に差がありますがご了承ください。
当作品は創作物であり、実在の地名や人物などとは関係ありません。作中には、自殺や自傷及び売春に関する記述があります。この記述について、差別的意図や肯定・助長する意図はありません。作中の内容は、情報の正確性を保証しません。法令等に違反する行為を推奨するものではないことを明言します。なお、作中には、「私小説風」作品、書簡体小説や日記体小説を含みます。
ご閲覧の際は、PC版での縦書き(文字サイズ小 ‐ 中)設定を推奨いたします。
*物語前半は、架空の同人誌の再録版の体裁を取った作品です
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!メタフィクション、或は怪奇幻想文学の極北
本当に素晴らしい。まず作品一つ一つのクオリティが半端じゃない。掌篇集ですら抜かりがなく、短い文章で驚きと陶酔を齎すその完成度は、まるで川端康成の『心中』のような巧みさである。
同人誌の形式で羅列される作品群の完成度もさる事乍ら、最後の藤尾瑛臣先生の書簡の完成度といったら。最後の最後迄読み通した後に最初から再読していくと、何か一つ一つのワードに示唆があるように思えてくる。メタフィクションの極北だと思った。
現実世界に今生きている読者の私、という視線を忘れ、本当に二人がいる世界線で同人誌を読んでいる気になった。確かにそこに存在しているのだ。読後の私と、読む前の私とでは明らかに乖離している。これは…続きを読む - ★★★ Excellent!!!紫が織りなす孤独と愛の物語
その昔、紫は貴重な色であり、高貴な御仁しか身に着けることを許されなかった。紫草の根から取れる染料は希少で染色に手間がかかったし、貝紫に至っては最も高貴な色とされていたのだ。紫式部が書いた『源氏物語』には、葵の上、若紫・紫の上など高貴で美しい女性に紫の字が使われている。
『【試読版】玉紫』には、全編にわたり紫があしらわれている。宇宙や気象、衣装、花、煙などにさまざまな濃淡の紫が存在し、精選された言葉によって、耽美で妖艶な世界に読者を誘う。
そして、その幻想的な世界観の中核にあるのは文学に己れを捧げた、二人の才ある男性だ。互いが互いを必要とし、それ故に滅びざるを得なかった真摯で不器用な愛。その…続きを読む - ★★★ Excellent!!!硝子の向こうの展示物
これだけのものを文体にわずかの綻びもなくぶれもなく書き上げてしまうという手腕だけでも感嘆に値する。
根気の有無ではなく、己の中に揺るぎない美学がないと、この文章は編むことが出来ない。
といっても明治の文豪など、この手の文体を当たり前にしていたのであって、「時代遅れ」を外せば、かつての「普通」、本人の嗜好のままに古い作家の作品に耽溺している方なら、眼にも慣れ親しんだ、大変に心地の良いものであろう。
きっとこの方は、自分の書き綴る一文字一文字に深い満足と快感を覚えている。文章のどこを切り取ってもこだわり抜いた美しい漢字がいぶし銀のように光ることを意識して書いている。以前、この方の作品…続きを読む