愛らしく淑やかな櫻の樹が抱く想い

長い時を見つめながら、花を咲かせて葉を散らせ、そして深い想いを抱いた桜の樹が語る物語です。

「小百合」と名付けられた、お淑やかでありながら可愛らしい桜は、とある青年に出逢います。
小百合さんが彼に抱く思いは切なく、美しく。
しかし抗いようのない運命は、ひたひたとやってきて……。

作者様の作品はどれも美しい文章が印象的。そしてこちらの作品は、昭和初期のレトロな香りが漂う上品な言葉で綴られており、その世界にふわりと酔うような感覚を覚えます。

桜咲く春のあたたかな日差しのような読後感でした。
ありがとうございます。

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