確かなぬくもりが、そこにはあって

老人ホームで生活する男の子、希於くんと、彼を取り巻く人たち。
明るく可愛い男の子の周りには、優しい空気が満ちています。
でも……。

とにかく希於くんがかわいくて、読み始めるとすぐに、ふふっと笑みがこぼれます。
その中で気になる、彼のお母さんの様子。そして「言葉の足りない」人びとの思い。
次へ、次へと読んだ後には、心がきゅうっとするようなあたたかさに包まれます。

物語の中に織り込まれた言葉のひとつひとつを丁寧に追っていくと現れる伏線。それに気づいた時に「おおー」となるのもこの作品の魅力の一つ。

寒い季節でも心が柔らかくあたたまるような、心優しい作品です。