第22話 最後の結論

 高木先輩は、大手出版社勤務であり、調査費用は、あと1週間程度は支給されると聞いており、まだまだ、取材は、できるらしい。


 今のところは、高木先輩と、残りの二人の慶早大学のイキノコリの応援者の、地道な努力と聞き込みに期待するしか無いのだが、当該県警も同時に同じような聞き込みを行っており、どうも、これ以上の新たな情報は手に入りそうにも無いのが現状だ。


 ここでの最大の問題は、「万能荘人肉料理」事件で問題になった、当該その「人肉」が一体、何処から提供されたかであって、その被害者が特定されない事が、最大のネックであったのだ。


 しかし、この問題は、信じられ無い事に、誰もがアッと驚く結末で、超、劇的に終わったのである。


 その結末とは、当該県警の多数の刑事が動いたにも関わらず、

 『万能荘』に宿泊していた、老医師が疑問に思って持ち帰った、人肉らしき物体の検査の時に、実は、検体の検査間違いがあり、当該大学病院に入院後の死亡患者からの検体を誤って検査した、所謂、「取り間違え」結果だった事が、その後、大学病院側からの、正式に発表と謝罪があったのである。


 もっと、早く公表すべきであったのだろうが、話が余りに大きくなり過ぎて、正式発表が遅れたと言うのだが、いくら何でも、流石にこれは無茶苦茶な結末であろう。


 当該、県警本部やマスコミは、一斉に批判したものの、とは言え、何処の誰も被害者がいなかったと言う事で、この話は、急速に縮小して行ったのだ。


 で、この事実の正式発表により、高木先輩も、即、東京の大手出版社に呼び戻された。

 

 それにしても、何と言う、人騒がせな、人的ミスであったろうか。


 結局、当該、検査を実施した大学の研究員は、自ら責任を取って依願辞職。

 これで、全てが、終わったと、皆、思ったものだ。


 確かに、表面上は、それで良かったのかも知れない。


 また、この話により、世間の興味は冷えて行き、「人杭村」の話も、単なる噂話や与太話として、その後、急速に日本中からの、興味が消えて行ったのだが……。


 だが、果たして、この話は、単なる検体の「取り間違え」の単純ミスだったのだろうか?


 私は、『ガイア』に話しかけてみた。


「何か、全てが、夢のような話で終わってしまったなあ……結局、「人杭村」=「人喰村}の伝説は、やはり単なる伝説や、噂話、だったのかなあ……」


 しかし、『ガイア』は、ここで、信じられ無いような恐るべき事を話し始めたのである。


「白石純一さん、よくよく、考えて見て下さいよ。

 硬貨には、表と裏がありますね。

 今回の表の話は、単なる人為的ミスです。

 ですが、これが、実は、本当に「人肉」だったとしたら、どうでしょうか?

 例えば、大学の研究員が、多額の金品を貰って、敢えて、自らの失敗を名乗り出たとしたら、とか。

 これが、硬貨の裏の話だったとしたら、どうです。それは、考えられませんでしたか?」


「だがな、そう言う、人の一生に関わるような話を根本的に動かす程には、相当以上の金額が必要だ。その金品を、一体、何処の誰が出すんだよ?

 少なくとも、最低でも、数億円単位のお金で無ければ、いくら大学の研究員であっても、自分の人生を、そう簡単には棒には振らないだろうに……」


「ですが、ここに、「人杭村」=「人喰村」の伝説や噂話を、つまり、どうしても、もみ消したい闇の存在があって、それだけの金品を提供したとしたら、コロリと、自分の意見を変えない無いでしょうかね?」


「まあ、それだけのお金が転がり来るのであれば、人によっては、「転ぶ」者も出てくるかも知れないが。

 つまり、貴方『ガイア』は、つまり、「人杭村」に関係する誰かが動いたとでも、そう言いたいのだね。

 しかし、それ程の大金は、あの北陸の超僻地にある筈も無かろうが……」


「では、かって、「人杭村」では、極短期間ですが、大量の砂金が取れた話を、白石純一さんは、ご存じ無いのですね。

 既に、江戸時代のお寺の縁起話に、小さいながらも載っています。

 その砂金を全部掬い取ったのが、かの「光の部落」の人々だったとは、思いませんか?

 砂金とは、金の砂でもあり、確かに光っていますよね……。

 「光の部落」の光とは、この、金の光から来た呼び名なのでは、どうでしょうか?

 

 また、何よりも、高価な薬を冬場に「人杭村」を通過して旅人は通った筈でしたね。


 その時、万が一、その旅人は元よりとして、その高価な薬も強奪されていたとしたら、そのお金は、結局、誰が、保管して管理していたのでしょう?


 これを、当時、金品に変えていれば、非常に、高額で売れたのでは……」


「な、何だって。では、貴方『ガイア』は、この、「万能荘人肉食事件」は、実際にあったと言うのかい?」


「あくまで、これも「推理」のみですが、現に、多額の金品を蓄財していた「人杭村」の人物や組織が、この事件のもみ消しに、いや、「人を喰らう村」の存在自体を、この世から抹殺する為に、動いたのだろうと言うのが、私の最新の「推理」です。

 ですので、「光の部族」自体は、例え存在しなくとも、それに近い組織もきっとあった筈なのです」


 な、な、何と言う驚愕の推理なのだ!!!


 直ぐに、明菜ちゃんと高木先輩を、私らの会社の研究室に呼ぶ事にした。


 全ての、話の、究極のつじつまを、この『ガイア』から、聞き出すためにもだ。


 さて、私、明菜ちゃん、高木先輩、あと二人のかっての慶早大学のミステリー研究員の、今回の関係者の大部分が、皆、天下のXXX株式会社の総合企画研究部の研究室に緊急に集合している。

 ここで、全ての、今までの謎が、明かされるのかも知れないのだ。


 私は、今までの『ガイア』の述べた「推理」の概要を、簡単に、集まった全員に話をし、それぞれの疑問は、皆から、この新型生成AIの『ガイア』に、皆の、話を聞いてもらう事にしたのだ。


 最初に、質問したのは、高木先輩だった。

「では、私が、雑草を搔き分けて辿りついたあの「光の部族」とは、一体何だったのだ?

 例の、人肉食やジビエ肉を提供する、俗に言う「またぎ」のような存在の部落だったんじゃ無いのか?」


「その可能性は、全然、否定致しませんよ。

 むしろ、私はその可能性が、非常に高いと思います。

 これは、私のみの「推理」ですが、かっては、極短期間に砂金を全て取り尽くし、また、殺した旅人から強奪した、高価な薬等をも売って、多額の蓄財をしていたかも知れません。

 何故なら、この「人杭村」に大量に傾れ込んだ来た住民の大半は、中世の一向一揆で、時の領主に反乱を起こして敗れて逃れて来た、農民らが主体です。

 

 ですので、今後の侵略に備えて、その為の「軍資金」として、多額の資金を貯め込んでいたのでは……。


 つまり、それだけの財力が今でも残っていたとすれば、「万能荘人肉料理事件」の、もみ消しは、可能であったしょう」


「では、『ガイア』は、やはり、「人杭村」=「人喰村」だったと、言うんだね」と、高木先輩は、重ねて聞く。


「決して断言は致しませんが、今までの私の「推理」は、以下の通りです。

① 今でも、必ず、ジビエ料理や人肉料理を、密かに運んで来る、何かの人々や、組織が、必ず存在する事。それが、いわゆる「光の部族」である可能性が、非常に、高いのです。

② 万一、上記、運び人が存在しないとなれば、『万能荘』でのジビエ料理の提供は、絶対に出せない事になります。

③ 「光の部落」の語源は、ここら辺でも最も大きな寺の「満勝寺」で、江戸時代初期には、既に門徒が千人もいたと言われる『満勝寺縁起物語』にも、かって、極短期間に、大量に砂金が取れた村が、この北陸の僻地にあった事が、書かれている事。

 なお、この記述は、SNSに投稿された、主に日本の中世時代の研究者の論文に載っていた事によるもので信憑性が高い事。

④ で、今回の事件の被害者は、どうも、この村に間違って紛れ込んでしまった「行路病人」である可能性が非常に高い事。

⑤ 今回の「万能荘人肉食事件」で、検体の検査者は、人的ミスと言う事で、国立大学の職を辞したが、その裏で、かねてから蓄財されて来た村の財産が、この際、一挙に使われたのではないのか?

⑥ この検体の検査員に近づいて話を取り持ったのは、現村長の息子が、同じ国立大学の医学部に在席していた事で、この息子が、現村長や、いわゆる謎の組織らによって因果を含められて、その検査者に近づいて行った筈。

⑦ なお、「人杭村」=「人喰村」を裏付ける一つの決定的事実としては、佐藤萌の父親の「人杭村」出身の佐藤彰(旧姓:田中彰)で、多分、かっての人肉食時代の影響を受けての、あの恐怖の「幼女人肉食事件」を惹起した事。

⑧ つまり、佐藤彰の「幼女人肉食事件」こそが、長年の「人肉食」により、村民らの脳内の遺伝子情報に、何らかの欠缺や突然変異が起きていた可能性を示している事。

 以上が、私の、この「人杭村」=「人喰村」であったとの、「推理」の根拠なのです。

 何か、疑問のある人は、いますか?

 誰の質問でも受け付けますよ」


「ああ、大いに疑問があるね。

 仮に、「人杭村」が「人喰村」であったとしても、極一時的にとは言え一攫千金として、砂金等でそれだけの財産があったのであれば、何故、わざわざ、冬場に人間を食べねばならなかった程の窮乏状態だったのだ?」と、私が、声を荒げて聞く。


「白石純一さん。

 それは、卵が先か、鶏が先かの話となってしますが、

 私は、この砂金騒動により、「人杭村」に間違って入り込んだら、「現実に撲殺されて食べられてしまう」と言う、敢えて、偽の情報を先に流しておいていたのじゃ無いのでしょうか?

 と、そう言うふうに、この私は、考えているのです。

 何故なら、自分の村のみで、砂金の利益を独占したかったのが、多分、最も大きな理由だったからです。


 そして、毎年の大雪の事もあり、それが、いつのまにか、本当の現実となったのかも知れないものだとも、思っています」


「うーん、この説には、何処か納得がいく気がするなあ。だが、どうしても、解けない問題が、この私には、まだ、最後に残っているのだ」


「つまり、前にも言ったかもしれないのだが、故:林先生の生前の言われた最後の言葉、【続けて出版予定の『人喰村伝説考Ⅱ』で、その証拠写真を添えて発表したい】との、この言葉の謎が、どうしても解けないのだが。


 しかもだ。当該県警が、この村中を捜査しても、そのような、人骨の集団墓地のような所は、結局、見付けられ無かったのだぜ。

 『ガイア』自身は、如何にも分かっているようだが……」


「そ、そうようね。今までの話は、全てが、『ガイア』の推理だけなのだけども、妙に、この私も納得出来ると言うか、腑に落ちるのよね。

 今の、純一さんの、聞いた疑問以外はね……」と、明菜ちゃんも、同意してくれるのだ。


「白石純一さん。故:林先生は、その証拠写真を載せると言って、その後、不慮の交通事故死に逢われたのでしたね。

 つまり、逆に言えば、どう言う方法であれ、その人骨等は、目に見える形で、今でも残っている筈ですよね?」


「まあ、そうなのだが、県警ですら、発見出来なかったのだよ、そうは、簡単には見つから無いだろうけど……」


「白石純一さんは、まだ、この前、この私が出した問いに、答えが出ていないみたいですね。実に、簡単な事なのですがねえ」


 もう、まるで、『ガイア』にもて遊ばれているようだ。

 いい加減、降参したほうが、早いのかも知れない。

 そこで、恥を忍んで、聞いて見る事にしたのだ。


「分かったよ、『ガイア』に降参だ。

 で、その人骨は、多分、数百人、いや数千人分も残っていると思うのだが、一体、何処にあるのだろう?」


 すると、『ガイア』の液晶のアバターは、ニヤリと笑って、次のように言ったのだ。

「あの「人杭村」の更に上にある、カルデラ湖の奥底深く、今でも沈んでいる筈とは思われませんか?」とね。


「何だって、あのカルデラ湖の湖深くに、沈められていると『ガイア』は言うのかい?」と、私が、オウム返しで聞く。


「そうです、その直ぐ下には、例の「光の部族」が、今でも住んでいますよね。

 これは、高木竜一氏が、現地調査にも行って、確認済みですよね。

 

 これも、私の「推理」ですが、結局、「光の部落」の住民は、砂金取りで一攫千金を得ただけで無くて、このカルデラ湖に近づく、不審な人間の監視役だったのでは無いのかと、私は思っています」


「では、故:林先生は、そのカルデラ湖に、近づけ無かったのでは?

 どうやって、その証拠写真を撮る、あるいは、撮ったのでしょうねえ……」と、私は、極、素直な疑問を聞いて見た。


「何、普通のドローンに、水中投下型のカメラを、そのカルデラ湖に投下して、この事実を掴んだらどうでしょう。

 現代なら、実に、簡単な事ですよ」と、『ガイア』は、これも、いとも簡単に答えるのだ。


「ただですよ。故:林先生に、それほどドローン技術があったとも思えず、今から、約10数年以上も前には、それ程の高度の水中カメラが、一般人が簡単に用意できるとは、とても考えられません。

 ですので、この証拠写真云々の話は、故:林先生の、退院直後の、妄想やせん妄、空想だったのでは無いかと思いますが?」


「分かったよ、『ガイア』、貴方の言う通りかも知れないなあ……。

 

 だが、この前に、例の「検体仮説」で、長島県警本部次長には、迷惑を懸けた過去がある。


 もう、これ以上、迷惑は、懸けらけられないのだ。


 本来は、当該県警の調査に任せれば、良いのだが……。


 高木先輩、悪いけど、もう一度だけ、プロのドローン捜査技士を連れて、この証拠写真を撮って来てくれないでしょうか?」


「ああ、任せときな」と、高木先輩は、大きな胸を叩いて、了解してくれたのだった。


 さて、高木先輩は、勤務する大手出版社を解き伏せ、再度、「人杭村」に、プロのドローン捜査技士を連れて、貴重な、カルデラ湖の奥底の証拠写真を撮りに出かけたのである。


 しかも、最新の機器を持って行くため、「人杭村」の南側、つまりあの「光の部落」側からはカルデラ湖に向かって行かず、非常に難コースながらも、カルデラ湖の北側の道から、ワザと遠回りして、カルデラ湖に向かったのである。


 さて、ここで、多分、湖底から数百体や数千体の人骨が見つかれば、「人杭村」は、間違い無く「人喰村」の伝説や噂話は、本物の事実として、確定するのだ。


 ホンの数日の高木先輩からの連絡が、非常に、長く感じたのだ。

 この私も、明菜ちゃんも、ただ、ひたすら、この報告を待ったのだ。


 では、この高木先輩は、何百人も何千人もの、人骨の残骸を、カルデラ湖の奥底で見付ける事が出来たのであろうか?


 しかし、水中を自在に動ける小型のリモコン式の水中カメラには、ホンの十数人の人骨らしき物体の撮影には、成功したものの、多分、江戸時代初頭から続いていたとされる、何百人も何千人もの、人骨の残骸を見付ける事は、結局、出来なかったのである。この人骨は、多分であるが、誤ってカルデラ湖に落ちたか、自らの意思による自殺体の物と思われたのだった。

 あまりに、人骨の数が想定よりすくな過ぎたからだ……。


 おいおいおい、では、一体、何なんだ、この結末は?この結果は?


 では、「人喰村」の伝説や、噂話は、結局全てが「嘘」だったのか?


 あの『ガイア』の「推理」は、では一体、何だったのか?


 だが、ここでも、この話は、実は、終わら無かったのである。


 あの「検体ミス」の大学の元研究員が、その後、東京都に、億ションと高級外車を買ったと言う噂話を、風の噂で聞いたのである。


 だが、この話には、実に大きな矛盾がある。いくら、自分のミスでの依願退職とは言え、それ程の、退職金が貰える筈も無い。

 勤続年数から、逆算すると、一千万円すら、貰えない筈だ。これは、大学の事務局に確認済みである。


 ここで、馴染みのある、警視庁の金田刑事に、この事を含めて、それと無く明菜ちゃんからラインを送って貰ったのだ。


 そして、ここから、話は、更に、急展開して行くのである。


 実は、これは、税務署にも関連して来る話なのだが、例えば、毎年、過小申告をして、多額のお金を貯め込んでおいて、豪邸をポンと建てた場合、その建築資金の調査票が送られて来るのだ。

 この場合、住宅ローン等を組んであって、それなりに、原資の説明が出来れば良いのだが、これが説明出来ないと、銀行預金口座や証券口座、その他の証拠の強制調査により、修正申告を迫られるのである。

 特に悪質な場合は、延滞税並びに重加算税40%も課される事もあるのだ。


 このように、その「検体ミス」の検査をした大学の元研究員が、急に、羽振りが良くなったのは、どう考えても、明らかに可笑しいのだった。


 で、かっての、北陸の地で、あの「万能荘連続不同意殺人事件」で、「人杭村」事件にも、外の刑事よりも遙かに知識のある金田刑事が、暇を見付けて、この研究員の出自を調査してみると、何と、母親が、あの「人杭村」の出身だった事が分かったのである。


 金田刑事が、更に、調査を続けると、本人の銀行口座にまだ何と一億円も残っていた事が分かったのだ。


 そう、この事から、所謂、闇の「人杭村」の資産が使われていた事は、ほぼ間違いが無いのだ。


 金田刑事は、例の「万能荘連続不同意殺人事件」の調査の時に、「人杭村」の村民の口の堅さに実に閉口したが、ここは、天下の警視庁内でもある。


 どう、あがこうが、ここで、知らぬ存ぜぬを、通す事は難しいのだ。

 例え、任意の調査であってもだ。


 やがて、どんなに堅固に築いた堤でも、蟻の一匹の穴から、崩壊していくように、この「人杭村」出身の大学の元研究員の口から、この、江戸時代以降、ずっと秘密裏に隠されてきていた、この謎の村の「人肉食」の話が、村民全体での共通の絶対的な秘密事項であり、現在でも秘密の組織がある事等が、徐々に、暴かれて行ったのである。


 つまり、この思いもかけない方面から、

「人杭村」=「人食村」の、全ての真実が、ついに、世間に暴露されたのだ。


 あの新型生成AIの『ガイア』の推理で、結局、唯一、間違っていたのは、「人叩村」に、冬場に迷い込み叩き殺した旅人の人骨を、全て、上流のカルデラ湖に捨てたと言う点で、ココだけは、実は、夏になって「天日干し」した人骨を、金槌で細かく砕き、更に石臼で微塵の粉にして、あの中野川に、コッソリと流していた事だけだったのである。


 おお、恐るべし、新型生成AIの『ガイア』の推理よ。


 こうして、「人杭村」=「人喰村」事件は、実に、あっけない最後を遂げたのだ。


 あの、村長らも全員が根本的に関係していた事も、勿論、含めてなのだが……。


 さて、更に、これは後日談なのだが、当初は本当に、冬場に迷い込み叩き殺した旅人の人骨は、間違いなく、「人杭村」の一番北側にあるカルデラ湖に捨てていたのは事実だと解明されたのである。


 しかし、ある日、突然の集中豪雨と、それに伴う土砂崩れにより、数本の人骨がカルデラ湖から、「人杭村」の川に流れ出したと言うのだ。


 これを見て、驚愕した当時の「人杭村」の村民らは、その後は、夏場に「天日干し」した人骨を、金槌で細かく砕き、更に証拠が残らぬように、石臼で微塵の粉にして、あの中野川に、コッソリと流すようになったと言うのである。


 この話は、村長らを徹底的に厳しく問い詰めて、初めて、解明された事でもあったのだ。


 と言う事は、新型生成AIの『ガイア』の「推理」も、あながち、それ程間違っていなかった事になるのでは無いのか……。 

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人喰村伝説殺人事件 立花 優 @ivchan1202

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