第9話 覚醒するサラ、ブリザーガー神殿の決戦!!
「あなただけは許さない………!」
すごい魔力が辺りを包む。自分も押し潰れそうなくらいだ。
神殿も強い魔力の衝撃でヒビが入る。
「キシャアアアアアアッ!!」
スクーヴは目に見えない速度でサラの後ろに回る。
「サラ!!」
スクーヴが鎌を振り下ろそうとした時、サラは霙丸を地面に突き立てる。
すると地面から氷の棘が出現してスクーヴを串刺しにする。
「キシャアアアアアアッ!?」
スクーヴは暴れるが、暴れれば暴れるほど棘が身体の奥へ突き刺さっていく……
「絶対に許さないって言ったでしょう?あなたは苦しんで死になさい……!」
「ギギ……ギ…ギ」
やがてスクーヴは凍ってしまい動かなくなった。
「……奥義……」
サラが特殊な構えをとり深く息を吸う。
「終雪一閃……!」
スクーヴを一瞬の速度で切るとスクーヴだったものは粉々に砕け散ってしまった。
そしてそのまま刀を鞘に収める。
「…………すげぇ」
そんな言葉が思わず漏れてしまった。
「……ツルギさん…ありがとうございます。」
「へっ?」
「あなたのおかげで勝つことができました」
「さ、サラ?」
サラの雰囲気が変わってちょっとビビる。
「私の名前はユキ……サラのもう一つの姿」
「え?え?」
「二重人格と言えば良いでしょうか? どうやら覚醒すると私の人格になってしまうみたいです」
「に、二重人格!?」
「約束……覚えてますか?ツルギさん」
「約束?」
「あなたは覚えてないみたいですが……いつかあの子が説明してくれるはずです」
「お、おう」
すると俺はさっきより魔力が弱まっていることに気づく。
「時間みたいです……私が二重人格ってことは他の人には秘密にしといてください」
「あっちょ!色々聞きたいことが!!」
「サラちゃんをお願いします」
その言葉を残すと、ふっ……と髪の色が銀色に戻り、気を失ってしまう。
「おっと!!」
サラが倒れかけたのでなんとかキャッチする。
サラがまさか二重人格だったとは……俺は驚きを隠せなかった。
俺はそのままお姫様抱っこで出口へ向かう
外へ出ると吹雪が止み朝日が見えていた。
「………ん」
彼女が目を覚ます
「私……どうなって……」
「お目覚めですか?お姫様?」
「うん……ありがと………ふえぇっ!?」
意識をはっきりさせるとすごい抵抗してきた。
「な、なんであなたが!!私を抱っこしてるのよ!!」
「なんか悪いか?」
「あーもう!!ツルギ君に抱っこしてもらいたかったのにーーーー!!」
「ツルギって俺だけど?」
「だいたいあんた!………は?」
彼女はポカンとする。
「だからお前の初恋相手だろ? ツルギって奴」
「ええそうよ?」
「俺がツルギだけど? テツノ・ツルギ」
「へ?」
すると彼女の顔が赤くなる。
「〜〜〜〜〜ッ///」
あれ?またなんか……まずいことした?
「いやああああああっ! お父様ぁぁぁぁ!!」
恥ずかしさのあまり彼女は逃げ出してしまう。
「ごめん!! なんかごめん!! だから逃げないで!!」
「あんたなんか大っ嫌い〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
一方その頃スフィンは国王のお願いでツルギとサラを探していた
「おっ、誰かいる」
「あれは………サラさんと……」
「ツルギ!?」
スフィンは一気に元気を取り戻す
「おーいツルギーー!!」
「スフィン!!」
「お前今までどこにいたんだ?」
「神話神殿にいた……」
「女の子と2人っきりで?」
「え?」
「お前まさか………」
「ちょ!何変な妄想してんねん!」
今日もドタバタな3人であった…………
次の日………
「これより! 神殿を救った英雄たちを讃える!!」
「勇敢なツルギとスフィン!!そして我が国の姫!サラに盛大な祝福を!!」
たった今ブリザーガー帝国では神殿を救った俺たちを讃える式が行われていた。
「我が息子のことは残念であったが国民よ!どうか悲しまないでほしい!我が娘のサラは勇者として覚醒した!!」
「これで世界を蝕む闇が来ようとも我らの世界は安泰であろう!!」
国民から盛大な拍手が送られる。
その後、俺たちはパーティの食事を片っ端から食い尽くし、パーティを存分に楽しんだ。
スフィンが城の騎士と模擬戦を繰り広げている間、俺はサラを探しにいった。
メイド長曰く『多分庭園にいる』とのことだ
言われた通りに庭園に向かうと……1人で月を眺めるサラがいた。
「誰ですか?」
「よっ!」
「ツルギ君……」
「兄さんのことはその……残念だったな」
「別に……仇は取れたし」
「……」
「お茶でもいる?」
「え? じゃ、じゃあお言葉に甘えて……」
俺はサラにお茶を淹れてもらう
「………びっくりした」
「?」
「初恋の相手がまた現れるなんて」
「俺たちいつ合ったっけか?」
「………まぁ、剣にしか興味がないあなたは覚えてないかもね」
「ごめん……」
しばらく沈黙が続く……
月を眺めていると彼女が口を開く
「ねぇ、さっきお父様と相談したんだけど」
「ああ、」
「あんたの旅についていっていい?」
「え?」
「私、あなたの旅に興味あるかも」
「いいぜ! 一緒に旅してたら約束を思い出せるかもだからな!」
「………!じゃあ、よろしくね!」
「ああ!」
あの時のようにまた指切りをする。
こうして新しい仲間が増えたのだった。
次回、東の地方 エウロスの里
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