第3話 西の国 サフィロース王国

第三話 西の国 サフィロース王国



 


西の地方にあるサフィロース砂漠は雷が常に落ちる地域で、金属製の装備を身につけていると雷が降りかかってくるという危険度の高い地方のうちの一つ。


まぁ、地方なんてどこもそれ相応の危険は伴うわけだけど……ここほど危険な場所はない。


まずここは金属の装備が着ることができない

金属製の装備が着れないとなると戦う時に絶対に敵の攻撃にあたってはならない。


そのため馬に乗って一撃離脱の戦法を取るのがこの地域の特徴だ

武器も自分の得意な地形と戦法、そして実力に合わせてうまく調整した石の剣を使う。


騎馬戦となると剣は長い方が有利だからこの地域では長剣がメジャーらしい。


それでも中には馬に乗らずショーテルを使う手慣れの奴がいるとかいないとか、

どちらにせよ長剣によるリーチの長く素早い一撃は、ほかの地方の人間からすればかなり脅威だ。


 収納魔法のおかげで雷にぶつかるとはなかったが途中で俺は巨大サソリとぶつかった。


「こんな時にサソリかよ!?」


サソリは毒針を俺に刺そうとしたり巨大な腕で俺を捕まえようとしてきた。


 しょうがないのでアーマーブレイカーを魔法陣から取り出しサソリを切ろうとしたが……切る直前にある事を思い出した。


(まずい!! サソリは硬くてナイフが折れてしまう……!!)


サソリに食われる事を覚悟した俺だったがサソリが刃に触れた瞬間…………髪の毛の如くスパッと真っ二つに切れてしまった。


「は?」


俺は困惑する、あの巨大サソリはSランクの剣ですら折ってしまうほどの硬い奴だぞ!?

アグニウムをちょっと入れるだけでここまで切れてしまうなんて……


「はは……さすが伝説の剣の素材だぜ……』


自分でも少し恐ろしくなった。


そんなことがありつつしばらく歩くとサフィロース王国に到着した。

サフィロース砂漠はその大昔、神話の時代の人々の中心地だったらしく砂漠を掘り起こすと遺跡や遺物がわんさかと出てくるため、この王国ではジャンク市場が有名だと聞いたことがある。


最近はジャンク品を再生して新品同様にしたあとに売るという商売も流行ってるらしい。

俺もその流行りに乗って錆だらけの台座に刺さってた剣を抜いてきた。


「さーてまずは王様に店を出す許可をもらわなきゃな」


ひとまずサフィロース城へ俺は向かう。


「どこに店を開くかなぁ〜?」


「キミ!」


「どわああああああっ!?」


後ろから突然話しかけれて俺はかなりビビった。

そう、そこには圧倒的高身長爽やかイケメンというモテたい男子全員の敵がいた。


「ど、どうされました?」


「なんの店を開くんだい?」


(ヤッベ! 聞かれてた!?)


「えーっと、武器屋です………」


「へぇー!! どんな武器があるか見せてよ!!」


「え?だって国王か王子の許可をもらわないと……」


「それなら心配ない! 僕が王子だからさ!!」


「は?」


一瞬脳の理解が追いついていなかった。こいつが王子?まぁでも王子と言ったら圧倒的高身長爽やかイケメンでもおかしくないが……


「きゃーっ! 王子様よー!!」


「王子様ーーー!!」


「おっと! 悪いが場所を変えさせてくれないか?」


「あ、構いませんが……」


「「まってーっ!!王子様ぁーー!」」


「キミ達へのウインクはまた今度ね!!」


そんなセリフを吐くと数人の女性が気を失った。

これがイケメン………恐ろしい……


イケメンに出会ってしまった俺はそのイケメン野郎と裏路地に来ていた。


「で、なんのようでしょうか?」


「キミ、武器屋って言ってたよね?」


「はいそうですけど?」


「ぜひうちの城へ来てほしい!! キミの剣を僕の父上に見せてほしんだ!!」


「これまたなんで…………」


「実は我が国には国の象徴たる伝説の剣がないんだ………」


「西の地方の伝説剣といったらボルトショーテルではありませんでしたっけ?」


「実は…………数年前に私の祖父が砂漠の悪魔、ガンロックに挑んだ際に折れてしまったんだ」


ガンロック……砂岩と黒曜石の魔物、伝説の剣ですら切ることができない頑丈なボディを持ち地面さえあればいくらでも再生することができる厄介な怪物だ、雷の力を利用して相手を切り裂くボルトショーテルだったからこそあいつを切れたんだろう、でも話を聞くと彼の祖父はその時にガンロックと相打ちになって亡くなっておりボルトショーテルも折れてしまったという。


「それでボルトショーテルを治すことのできる鍛冶屋を世界中回って探したんだが見つからなくて……」


「せめて伝説の剣を作ることができる刀鍛冶の一族がいればと思ったんだが」


「あ、それ俺です」


「父上のいう村がどこにも見つからな………え?」


「だから、『伝説の剣を作ることができる刀鍛冶の一族』って俺のことですってば」


「き、キミがそうなのか!?」


「疑うなら試してみます?」


「しかし……!あれは勇者とその刀鍛冶の血を継ぐものでない限り持つことはできないという!!」


「ならやってみましょうよ、俺が本当に伝説の刀鍛冶かどうか」


俺は城に入れてもらい、ボルトショーテルを修理することになった。


「本当にいいんだな?剣が拒否反応を起こせば其方は死んでしまうぞ?」


「すでに何人もの刀鍛冶が重傷だ……覚悟はよいな?」


「はい……」


俺はボルトショーテルをそっと握る。

…………何も起きない。


「拒否反応が起きてない……!?」


「な、なんと!!では彼が……!」


「はい!父上!彼が伝説の刀鍛冶だったんですよ!!」


そのままショーテルを持ち上げる。


「王様……!少しお借りしていいですか?」


「なぜだね?」


「この剣、強化してもっといい奴にできそうです!!』


俺の目はキラキラしていた。


「う、うむ、良いだろう」


(よしっ!!)


そうと決まれば早速アイデア出しだ。

俺は宿に泊まりメモ帳にアイデアを片っ端から書き込む。


(鋭さをもう少し上げて放熱機構を付けよう、それと……)


その日はアイデアが溢れ出てきて一睡もできなかった

アイデア出しと設計図を書いていたら昼になってたのである。


「よしっ!! あとは素材集めだな!!」


「僕も同行していいかい?」


「うわああああああっ!?」


そこにいたのは王子だった。

毎回思うが気配を消すのがうますぎる……


「勝手に入ってくんなや!!」


「ごめんごめん!」


「それより『ライジウム』を取りに行くつもりだろ?」


「なんでわかったんだよ……」


「刀鍛冶ならそうすると思ってね」


「は、はぁ」


「キミだけじゃ心許ないだろ?西の勇者である僕が手伝ってあげるよ!!」


「ゆ、勇者ぁ!?」


こ、こいつが勇者!? でもよく見れば勇者の紋章が額にうっすら見える……


「ということでよろしくな!えっと……名前は?」


「ツルギです」


「ツルギか!! 俺はスフィン、スフィン・ショーテルだ!」


「よろしくな!!」


手を掴まれ乱暴に握手される……こんな陽キャについていけねぇよぉ……


次回 神話遺跡インドラ

 

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