刀鍛冶の俺、勇者ギルドを追放されたので好きなだけ剣を作ろうと思います。〜別に追放するのはいいですが伝説の剣を作ったのは俺ですよ?〜

@koudaihiroaki

第1話 勇者パーティクビ?だったら好きなだけ剣を作ります。

俺はテツノ・ツルギ。

 テツノ家伝説鍛冶流180代目だ!

 俺は今勇者ギルドに所属しておりギルドで際限なく剣を作っていた……………

  剣を愛し、剣を作ることを生きがいとしてる俺なので際限なく剣を作れるのは嬉しいのだが………


「ツルギ!! この剣を頼む!!」


「ツルギ!! 早く私の剣を治しなさい!!」


「ツルギ! さっさと強化しやがれ!!」


 重労働すぎる!!


 俺は勇者ギルドのメンバーが持つ剣の修理・製造・強化・販売・売却を全部ワンオペでやっていた。


 24時間働いてもらえるお金は3ギガだけだけど

(1ギガ=日本円1000円)


 もうこれなら自分で剣を売ったほうが早い気がする……そう思いつつ俺は今日も鍛冶を続ける…………そんなある日のことだった。


「お前クビな」


「は?」


 勇者のケンジから突然言い渡された衝撃の言葉


「もっといい鍛冶屋を見つけたんだよ、お前には出ていってもらう。」


「な、なんで!?」


「ギルドマスターからの命令だ、受け入れろ」


「理不尽すぎだろ!! 雑に扱っておいて!」


 俺は怒りに震えるがとある事に気づいた。


(待てよ…………?もしかしてここでギルドを抜ければ24時間労働から解放される!?)


「理不尽ではない! これは命令d…………」


「じゃあ抜けまーす!!」


「は?」


「今までお世話になりましたー!俺は村に帰るので!」


 俺はそそくさと荷物をまとめ村に帰る支度をする


「なんなんだあいつ…………」


 自分の部屋で荷物を支度してると城下町の刀鍛冶達が乗り込んでくる。


「ツルギパイセン! 勇者ギルドを抜けるってマジすか!?」


「おっ、シルドじゃないか!! 久しぶり!」


「久しぶりっす………じゃなくて!!これからどうするんすか!?」


「そうだなぁ、とりあえずアグニ火山の鍛冶場でひたすら剣を作るのみだな」


「そ、そっすか」


「どうした?シルド?」


「あなたに憧れて鍛冶屋を始めたのにこんなのないっす………」


「まぁ、うん……この街の鍛冶場は任せたよ」


「え?」


「お前は盾鍛冶だったよな?誰かの命を守る盾を作るなんて立派な仕事じゃねえか」


「対して俺は誰かの命を奪う"剣"を作る仕事、褒められたもんじゃねぇよ」


「でも!!」


 俺は近づき後輩をそっと抱く


「だからこの街はお前に任せたぞ……!」


 そう言って頭を撫でてあげる。


「…………!!ハイっ!!」


 数時間後に荷物の整理が終わり俺は城門を出ようとしていた。


「よし!世話になったな」


「パイセン……!気をつけて!!」


「おう!」


 馬車に乗り村の方まで運んでもらう。

 村に帰ったらなんの剣を作ろっかな〜俺は非常にワクワクしていた。

 雷を利用した剣?空力を利用した剣?それとも新世代の伝説の剣?そんな想像を膨らませながら俺は寝る事にした………。


「お客さーん!!つきましたでー!!」


「おっ!ありがとうございます!」


 10年ぶりに俺は村へ帰ってきた。

 懐かしい火山の匂いと焼けるような暑さだ………!


 刀鍛冶村


 かつて伝説の剣を作るために世界中から集められた刀鍛冶達、その子孫が築き上げた村。


 伝説の金属アグニウムが取れる火山、アグニ火山の麓にその村は存在しておりいろんな刀鍛冶が集まり支え合って生きている。


 その中でも俺は魔王に対抗する事ができる伝説の剣………それを作る事ができるアグニの儀式の継承者で、この世界で伝説の剣を作ることができるのは俺だけで俺がいなければ伝説の剣を治すことも復活させる事もできない。


 なのにあのギルドは俺のことをクビにした。

 あいつが持ってたあの剣は俺が作った奴だからもう限界が来てるし、勇者に黙ってこっそり直していたけどもう抜けたから関係ないや


 そんなことを考えながら俺は村の入り口まで向かう。


 村の入り口まで来るとそこには………


 幼馴染みと遊んでいる弟がいた。


「テツノ君〜ご飯一緒に食べよ〜?」


「サトちゃん………くっつきすぎ………!!」


「いいじゃん、幼馴染みなんだし」


「いや、周りの目が………ってあれ?誰だ?」


「?」


「ほら、さっきっからこっち見てる人」


「誰だろう?知り合い?」


「ううん……知らない」


 2人が困惑している………そりゃそうだ。

 あいつらは10歳で俺は16歳。

 そして俺が勇者ギルドに入ったのは10年前だからあいつは生まれてまだ数ヶ月だった。


 隣のサトちゃんもだ。


 大きくなったなぁ…‥2人とも……


 そんな感じでしみじみしてると村人が1人近づいてきた。


「ややっ!お前さん!ツルギじゃねぇか!?」


「ああ、そうだが?」


「おまえらーーーーー!ツルギがかえってきたぞーーーーっ!!」


 大声で叫ぶと、村が一気にざわつく


「ツルギって誰だ?」


「さぁ」


 俺の名を知らない人もいたが昔から村にいる人たちは一瞬でわかってくれた。


「ツルギちゃんが!?」


「ツルギだとぉ!?」


「みんなー!!ツルギちゃんがかえってきたべーーー!」


 宿のおばさんが大声で叫ぶ


 すると村が一気にお祭り騒ぎになる


 俺は渋々村に入る……もう少し穏便に行きたかった……


「おかえりなさい!!テッチャン!!里長がお待ちよ!!」


「あ、うん、」


「………」


「ねぇ、あれってテツノ君のお兄さんじゃない?」


「え?」


「ほら、10年前に刀鍛冶の修行に外へ出たっていう」


「確かに、テツノ家の特徴はあるけど………」


 2人は不思議そうに俺を見つめていた……あとでちゃんと説明しないとな


「里長…………ただいま戻りました。」


「ツルギよ…………事情は全て把握しておる」


「辛い目にあったな…………」


「いえ、労働時間のわりにはもらえるお金が少なかったので……これでも満足してますよ」


「そうか…………して、お主はこれからどうするつもりだ?」


「そうですねぇ…………アグニの鍛冶場で刀鍛冶の修行をします」


「そうか…………無理はするな心の乱れは剣の乱れだ、むやみやたらに剣を作るのではないぞ」


「わかりました、里長」


「これはアグニの鍛冶場の鍵だ、受け取るがよい」


「ありがとうございます、里長」


「うむ、満足するまで作ってこい」


 俺は険しい山を登り火山の洞窟を抜け、久しぶりにアグニの鍛冶場にたどり着いた。


 昔じいちゃんがここで、風伝説の剣エヴロスを作り上げたことをいまだに覚えている


 あの光景は忘れたことがない。暑苦しい火山の中で一撃一撃に魂を込めて火花を散らしながら打ち込んでいたことを…………


「さて作りますか!!」


 素材はここに来る途中で採掘してきたのでたくさんある。俺はアグニの鍛冶場でひたすら刀を打ち始めるのだった。


 次回 そうだ、商売をしよう

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