第5話 完成!!ライジングショーテル!!

前回、俺たちは神話遺跡に巣食っていた怪物スクーヴの討伐に成功。

インドラ神殿の主人、女神インドラからこの世界を蝕む闇についての話を聞かされた。


むかしむかしはるかしんわのじだい


いかいのしょうねんがこのせかいにやってきました


いかいのしょうねんはいかりのままにせかいをこわしました


そしてしょうねんはじゃしんとなりました


じゃしんはいいました。


ひのあらしとくろいあめをつくったのはおまえたちにんげんだ、にんげんはにくいしんでしまえ。


『そして私たち四女神でさえも叶わないほど闇は強大になったんです』


「ひのあらし?」


『詳しくはわかりませんが彼は異世界にあるヒロシマという場所から来たらしいです』


「ヒロシマ……ひのあらし、くろいあめ……」


知らない単語がたくさん出てきて困惑する。

ヒロシマというのは場所の名前というのはわかったが火の嵐と黒い雨がいまいちよく分からない。

謎が深まるばかりだ。


「インドラ様は何かご存知ですか?」


『私もヒロシマが場所の名前ということしか知りません』


「とりあえず今わかってるのはその闇が異世界のヒロシマってところから来たってことか……」


『私以外にもあと3人女神がいるのですが……連絡が取れません』


「つまり今回みたいに神殿に何か居るってことだな」


「よぉーし!だったらそいつらを倒して闇についての手がかりを探そう!!」


「そうだな!!」


「では、貴方達を王国へ転送します、そこのライジウムを忘れずに持っていってください」


「あ! そうだライジウム!!」


俺はライジウムの塊を手に取る。

壁から採れるライジウムは少量だから一発勝負だと思ってたけどこの量なら試作品を2、3本は作れそうだ!!


「準備はよろしいですか?」


「それでは……あなたたちに4女神の加護があらんことを」


辺りが眩い光に包まれ王国へ転送される。

そして気づいたら城門前に着いていた。


「一瞬でついたな……」


「さぁ! 父上に報告だ!!」


俺たちは城へ向かった。


「よくぞ戻ってきた!!わが国の勇者よ!!」


「父上……!?いつその事を?」


「さっき女神インドラのお告げがあったのだよ!!」


「立派に成長しよって!!私は感無量だ……!」


「父上……それはツルギのおかげです」


「彼がいたから私は勇者として覚醒することができた……!」


「本当にありがとう……!」


「いやいや……!勇者として助けてくれたのは君でしょ!?」


「そうかもしれないけどお礼を言わせてくれ!!」


「ええっ!?」


どこまでこいつは爽やかなんだか……イケメンといるのも案外悪くないな。


「それでライジウムは採れたのかね?」


「はいバッチリです!!」


「それじゃあ早速!ボルトショーテルを強化しますね!!」


アグニの鍛冶台を取り出し折れたボルトショーテルとライジウム。そしてアグニウムを投入する。


そして俺は鍛冶を開始する。


ショーテルを作るのには意外と苦戦したので4日間打ち続けた。


ガキン!!ガキン!!と打つ姿に見惚れたのか王国の若い女の子が差し入れをたまに持ってきてくれたのでそこまで腹は空かなかった。


そして5日後……


「ツルギ! 見にきたぞ!」


「おっきたきた!!ほら!」


「すごいショーテルだ……!出来が違う……!!」


「ライジウムを使ってるからライジングショーテルだな」


「そういえばこれは鉄製だが大丈夫なのか?」


「ああ、放電機構と蓄電機構を付けたからそのショーテルを装備して雷にあたっても平気だよ」


「そんなこと刀鍛冶でできるのか!? 普通は魔法でコーティングすると思うんだが」


「うちの家系の放熱機構付き剣を参考にしたんだ」


「なるほど? よくわからないが……すごいというのはわかったよ」


まぁ、簡単に説明すると、剣にところどころライジウムをコーティングした溝があって……鉄に必ず雷が降り注ぐ現象を利用してそこに電気を溜め込む仕組みを作ったんだ。そしてショーテルの外縁側にある大きな穴から電気を放出して雷を発生させその反動で敵を切り裂くっていうアイデアで作った。


「テストしてみる?」


「え?」


「一応テスト場は作っといたから早速試し切りといこうぜ!」


「あ、ああ」


俺たちは2人で試し切りをすることにした。


「剣を構えてみて」


「こうか?」


スフィンがショーテルを構える


すると早速雷が発生しショーテル目掛けて落ちてくる!!


ドガァァン!!と目の前に雷が落ちてさすがのスフィンでも目を瞑る。


「やった!!成功だ!」


俺は成功してとても嬉しい気分になる……!剣が雷を纏っている!!


「スフィーン!!試し切りしてみてーーー!!」


「ああ!!」


スフィンはショーテルを振りかぶると外縁側の穴から雷が発生しその反動でスパァッとアグニウム製の鎧を切ってしまう。


「すごい……!!アグニウムを真っ二つにするなんて……!!」


「………ふっ」


「どうした? スフィン?」


「これは面白いショーテルだ!!やっぱツルギ!!君は最高だよ!!」


「へへっ!!」


俺は嬉しくてサムズアップする。


「さて、もうすぐ夜だし戻ろうツルギ」


「そうだな」


「ツルギ……お前はこのあとどうするんだ?」


「そうだな、剣を少し売ったらまたどっか違う場所へ行くよ」


「そうか……」


「スフィンが寂しそうな顔をする」


…………別れたくないのは俺も同じだよ、実際こいつといると色々と楽しい。

剣にしか興味がなかった俺を変えてくれた人間第一号だ。


「スフィン!!ありがとな」


「え?」


「俺はお前と冒険して最高に楽しかったぜ」


「………!!」


「なーに終わりみたいな雰囲気を出してるんだよ!!これからも俺たちはずっと親友だ!!」


「……! だな!」


俺たちはグータッチをする。

ほんと面白いやつだ……!


 ――――――

 

 「と、いうことで!俺もお前の旅について行くことにした!!


「は?」


冒険者の服姿で突然押しかけてきたと思うと衝撃的な発言をされた。


「え?国は大丈夫なの?」


「父上からの許可はもらっている!!これからもよろしくな!!ツルギ!」


「………え?」


「ええええええええええええええっ!?」


こうして俺の旅のメンバーにスフィンが加わることになった。


次回 北の国 ブリザーガー帝国

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