第12話 いざ魔風龍討伐へ……

ツバサちゃんの特訓のためにアグニの鍛冶場へ向かった俺たちはアグニ火山に来ていた。


「確かアグニの鍛冶場はここだったはず……!」


アグニの鍛冶場の門の前に着いた。


鍵を使用して門を開ける


「ここは重力が12倍だ……潰れないように気をつけて……!」


「はいっ……」


俺たちはアグニの鍛冶場に入る。


「体が……重いです……」


「ここで3年間ひたすら修行だな」


「さ、3年間!?」


「大丈夫だ、ここでの三年は外での3時間だ」


「そ、そうなんですね……」


「よし、まずはランニングだ」


「は、はいっ!」


そのまま俺たちは修行を開始する。


まずはランニングなど基礎的なメニューで重力に慣れてもらう。


2年後……


「はっ……はっ……はっ………」


重力に慣れたのか彼女の動きが軽快になっていた。


若干だが体も成長し俺のお腹あたりしかなかった身長は肩に届くまで伸びていた。


あとスタイルが良くなった? 気のせいか?


「よし、あと一年で武器の修行だな」


「武器ですか……?」


「さっき訓練用に調整したエアーマグナムだ」


俺はエアーマグナムを渡す。


「まずは剣として使ってみてくれ、マグナムモードはその後にしよう」


「わかりました……!」


6ヶ月で双剣モードを使わせて残りの6ヶ月でマグナムモードに慣れてもらう。


だいぶハードスケジュールだが彼女はそれでもやりこなそうと一生懸命やってくれた。


俺はその間に三代目のアーマーブレイカーを制作する。


今度のアーマーブレイカーは軽量化の構造はそのままにアグニウムの上位素材プロメニウムを使用する事にした。


結果として30%の軽量化に加えて強度を上げる事に成功。

あとプロメニウムの副産物として魔力を込めると刀身を赤熱化させる事ができるようになり、切れ味がさらに増した。


だけど木製の持ち手は刀身の性質上溶けてしまうのでアグニウム製の持ち手に変更となった。


木製の持ち手はかなりお気に入りだったので少し残念である…………


「きゃっ!?」


ツバサちゃんがエアーマグナムの反動で吹き飛ばされるが受け身をとって体へのダメージを抑える


「大丈夫か!?」


「大丈夫……です!」


腕がプルプル震えており痛そうに押さえていた。


1年間あの反動で撃ち続けてるわけだからそりゃそうだ。


「少し休憩しよう……俺も疲れたし」


アグニの鍛冶場3年間もいるのは流石の俺でもきつい


2人で少し休憩する事にした。


「そういえばすごい成長したな……」


俺はすっかり大人の体になったツバサちゃんを見る


「女性の風人族はある年齢を境に一気に成長するんです」


「なぜだ?」


「幼いうちに子孫を残せるようにでしょうか? そんなことを聞いたことがあります」


「子孫を残す……?」


「風人族は元々、戦闘民族だったんです……他の地方を飛んでは食料などを盗みその村にいた部族を滅ぼしてまわってました」


「ある日、風神様の怒りに触れて王国を破壊され大量に風人族が死んでしまったんです」


「それで残った数少ない風人族が築き上げた里が……」


「エウロスの里……」


「はい……そして今に至る過程で風人族は進化して幼い頃から子供を産めるような体になったんです」


「一族を残すために……か」


「……俺の村もそうだったな」


「え?」


その昔、俺の村の女性は早ければ5歳頃から自分の子供を作るというしきたりがあった。

母さんもそうだった。13歳に父ちゃんと子供を作った。

そして生まれたのが俺とカタナだ。


まぁ、そんなしきたりはカタナが生まれたのを最後に無くなったが。


「子孫……ねぇ」


「ツルギさんは興味ないんですか? 自分の子供に」


「ないな、刀鍛冶は俺がやればいいからな」


「怖いんだ…刀鍛冶ができなくなったら俺の存在意義が消えちまう」


「………そんなことないと思います」


「?」


「きっとツルギさんの子供があなたを思いを未来へ繋げてくれます……!」


「……そうか」


「子孫を残すのも悪くないのかもな……」


「…………」


「どうした? ツバサちゃん?」


「いえ!! なんでもありません!! 続き……やらせてください!!」


「よし!! 残り数ヶ月で仕上げるぞ!!」


「はいっ!!」


そんなこんなで一年経過した。


「よし……時間だ!! みんなのところへ戻ろう!!」


「はい……」


そのまま転送魔法であいつらがいた場所へ向かう。


ーーーー


「あいつらまだかな?」


「もしかして……ツバサちゃんにえっちな事してるんじゃないでしょうね……」


「女に全く興味なかったアイツがやるかぁ?」


すると魔法陣が生成されツルギが現れる。


「ツルギ!!」


「ツバサちゃーーーーーん!!」


2人は歓喜する


「あれ?ツバサちゃんは……?」


「サラお姉様!!」


「あっツバサちゃ………」


カチンとサラが凍ってしまう。


「な、な、な、!!」


「誰よこの美少女!!ツバサちゃんは!?私のお宝はぁぁぁ!?」


「この子がツバサちゃんだってば!!」


「嘘よ!! ツバサちゃんはこんなにナイスバディな子じゃないわ!!あんたツバサちゃんにえっちなことしたでしょぉぉぉぉお!!」


「してねーよ!!」


「ほぉー大人になったなツバサちゃん!!」


「え?大人?」


「風人族は俺たちと違って16歳から大人って事になるんだ」


「だから16歳になるのを境に体が急成長して相方を探す旅に出るんだよ」


「え……嘘? 私の可愛いツバサちゃんは大人になっちゃったの!?」


「まぁ、そういう事だな」


「嘘でしょおおおおおおおおおおっ!?」


ズーンと落ち込んでしまう。


「サラお姉様……?」


「アイツは気にしなくていいよ……次の日には治ってるから」


「あーいうのはほっとくのが一番だぜ」


「は、はい……」


「明日は風魔竜を討伐しに行く!! しっかり寝ろよ」


「「おー!!」」


「おー……」


……この先のサラが心配である。


 次回……「もう……我慢できないです……」

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