第10話
そう思って歩き始めた私の後ろで
力のない光流の声が小さく聞こえた。
「…………なんで…?」
そう、不思議そうに漏れた声が。
何に対する疑問符なのかは分からない。
この状況に対してなのか。
私の言動に対してなのか。
己に対してなのか。
何とも取れないその一言に、胸がギュッと強く掴まれたような痛みを感じる。
まるで捨てられた子供が去っていく親を見て呟いたようなそれだった。
違う。
本当は。
………ごめんね。
そんな感情が入り混じってぐちゃぐちゃだ。
振り返ってはいけない。
「……違う……」
「……?」
「……あれ……こんなはずじゃない、のに……」
そう思いながら歩き進める私の背後で、再度聞こえてきた彼の声はこの場に相応しくない言葉を紡いでいた。
……こんなはずじゃない?
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