第17話

「っ、!」




呆然としている場合じゃない。

このままだと本当に、日下が殺される───。


そう思い私は慌てて口を開いた。




「っ、光流……!!」


「あーそうそう、由奈にも怒ってるよ?」





私が名前を呼ぶと同時に、光流からゆったりとした調子でそう告げられる。


そして彼は手に持った拳銃の先で私の顎を持ち上げると、感情のない冷めた瞳でこちらを見下ろした。




「!」




────澱んで濁った、仄暗い瞳。



私はこの瞳を知っている。




初めて会った時の、獲物を捕らえるような瞳。

彼が人を殴る時の瞳。

人を陥れようとしている時の瞳。


そして、


滾る想いを抑え込んでいる時の瞳。




この瞳をしている時の光流は……


人の心を、宿していない。

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