第15話
「……っ、ゃ…」
射抜かれた視線のせいで、体が動かない。
光流を捨てる……?
そんな訳が無い。
あんたは私の唯一の味方だから、私は光流を助けたくて、それで────。
そう思うのに、声が出ない。
腕と足から血を流しながら笑っている光流が異質で、腹部からも大量に血が流れているのに平然とそこに立っている彼は……あまりにも不気味だった。
体から、力が抜けていく。
「ぐッ…ぅ…!」
「……!」
しかし、背後から唸るような呻き声が聞こえて、ようやくハッとした。すかさず振り返れば、血を流して倒れている日下が視界に映る。
銃弾が、日下の脇腹と両腕を貫通していた。
目の前でドクドク…と血を流しながら、その場に崩れ落ちている日下を見て思わず息を呑む。
……っ、日下……ッ!
反射的にその体へ駆け寄ろうと足を動かすけれど、背後から強い腕に抱き止められて、
「もう少し頑張ろうと思ったんだけどなぁ……
やっぱり俺に
耳元でそんな、艶のある声が響く。
先程まで立ち上がることも出来なかったのに。
彼はまるで何事も無かったように平然と私の背後に立ち、銃を持った左腕を私の腰に回した。
「…………み、つる………ッ」
……どうして。
どうして、どうして、一体何故。
状況が───読み込めない。
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