概要
さあ、君に水をあげようね。元気になる水を。
瀕死の蟷螂に水をやる中西。
蟷螂は身を起こし、草むらへと消えてゆく。
中西は言った。
「元気になるのはほんの一瞬さ。明日にはその辺に転がってるよ。でも、それが面白い」
俺は、そんなお前が心底怖かったんだ――
蟷螂は身を起こし、草むらへと消えてゆく。
中西は言った。
「元気になるのはほんの一瞬さ。明日にはその辺に転がってるよ。でも、それが面白い」
俺は、そんなお前が心底怖かったんだ――
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!苦くて、甘い。
本作に登場する中西の行動に関しては最初、死にかけの虫けらの生命を悪戯に弄んでいるのだろうか、という不気味さを感じ取った。
瀕死の蟷螂に水をやると元気になって動き出す。
しかし、中西曰く
「元気になるのはほんの一瞬さ。明日にはその辺に転がってるよ。でも、それが面白い」
主人公でなくても怖い。
時は流れて大人になった主人公は病に冒され老人のように老いた中西と再会する。
中西はペットボトルの水を持って……。
ここまで書くとある種のホラーにしか見えないが、ところがここで物語は意外な方向へと進む。
人生において、末期の水というものは臨終の際に唇を濡らすものだが、その前にも甘露があってもい…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ちょっと類をみない傑作。必ず読むべきです。
一読した瞬間、そのすごさに圧倒されました。ああ、こういう物語を書かれてしまった。今夜は筆者であるみかみ様を、心より賞賛する夜と決めました。
非常に完成度の高い純文学だと思います。
純文学とは何か? という問いも生まれそうですが、端的に言えば「意味がわからないものです」。語弊はあると思いますが、実際そういうものだと思います。例えば、道端を歩いていて、ムチで洗濯物を叩いて泣いてる老婆の語る世界観を知ってしまう、そんな得体の知れないものが純文学です。
それは人の持つ根源的な感情が「人と言う化け物」の中を通り抜けた時に、どのように変質してしまうのか、その尋常ならざる美しさを競い合うのが純文学な…続きを読む