このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(201文字)
光源にたかる羽虫のように、誰かに依存しないと自我を保てない男の心情を、光の明滅と合わせて描くという巧みな表現が素敵です。過激な行動に出る粘着的な性格に見えて、新たな光源に出会うとあっさりと移り変わる様子も羽虫のままでいる男のある種のアイデンティティだなと好みでした。
「光」を書こうとすると、同時に「闇」も書かないと光は際立ちません。そういうわけで闇の世界を書くことも多いのですが、こちらの作品は光と闇のコントラストが絶妙なバランスで成り立っていると思いました。主人公の中に広がる不安と焦燥にジリジリしたと思ったら、カラっとやってくる結末の勢いが凄いです。個人的に主人公の中で物語が全部完結しているところが好きです。こういう主人公、大好きです!
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光を憎み、呪う心の闇。傍観者の立場でなく、その心の持ち主側から、ていねいに描いていて引き込まれました。光源がキーとなっていて、切れかかった照明から、語り手の半生を振り返るという展開もシブかったです。最後のオチに納得しました。
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