窮鼠猫を噛む。

会社員である四宮春輝は、月の綺麗なある日、紅色の化け猫を見た。それは、夢か現か。
脳裏に焼き付いて離れない、紅、黄金、艶やかな黒。

同僚の三波遥介は取り憑かれたように変わっていく春輝を心配した。それは、同僚故なのか、それとも。

春輝と遥介には1ヶ月前に転勤してきた後輩がいる。名を“晃”と言う。…彼はその視線の先も理解っている。そこに、自分がいられないことも。

同時期自宅警備員である春輝の兄、雅秋はとあるマルチタレントにハマる。
美人な顔立ちのその男、名を“蓮”と言う。


とあるバーに、物静かな店員がいた。
眼鏡をかけており、あまり多くは語らず、しかし、常連は時折見せる笑顔に衝撃を受ける。
中性的で、可愛らしくも、どこか冷たい空気を纏う男。
…その名を“裕”と言う。


魑魅魍魎、百鬼…続きを読む