２×２

之木常と哲は一卵性双生児の兄弟で（常は神奈川大学、哲は上智大学出身、青山操子と忍は一卵性双生児の姉妹である（操子は北海道大学出身、忍は上智大学出身）。二組の兄弟姉妹は同い年であり、しかも家庭内同性愛者である。忍と哲は大学生時代に僅かながら接点があり、操子と常は仕事上の付き合いがある。けれどもこの二組はある時〝ねじれて〟知り合い、常は忍と、哲は操子と恋に落ちる。女性の側にはさほど迷いは認められないのだが、男性の鈴之木家の側には、「果たして自分達には女性を愛せるのだろうか」という強い疑念が起きる。これは、翻訳会社でコーディネーターとして勤務し給料をもらっている常の方では比較的弱く、翻訳家で語学教師、ならびに音楽評論家としてフリーランスの道を選んだ哲の側では比較的強かった。ちなみに鈴之木家の側から…続きを読む