第12話 竹の大冒険

 私は椎間板ヘルニアと仲良しで、ヘルニアの悪戯いたずらで、動く事が辛い日があるんです。


 そんな時は、文鳥たちのお世話だけで精一杯になり、放鳥する時間が少なくなります。


 その分、家族がフォローしてくれるので、ありがたいですが、納得できない方たちもいるわけで。



 寝る前の放鳥で、私が部屋に行かないと、不満気な声で鳴く子がいるんですよ。


 松です。最初のうちは高い声で呼び鳴き、私が部屋に来ないと悟ると、声が低くなりながらも呼び続け、竹は必死に呼び鳴きをしますが……


 文鳥たちの部屋から羽ばたく音がします。しかも何度も。


 家族に聞くと、竹が部屋から飛び出して、横になっている私の部屋に向かうものの、Uターンして部屋に帰るを繰り返しているとの事でした。


 今まで文鳥たちの部屋の扉を開けっ放しにしていても、出る事がなかったのに、竹は私の所へ行こうと飛び立ち、怖さでUターンしている様子。



 そして、横になっている私の部屋まで飛んで来て、二の腕に降り立ちました。


 羽を閉じて、細くなっている竹。

 小さな体で、恐怖と闘いながら来たことのない私の部屋まで飛んで来た竹。


 二の腕にいる竹を見た瞬間、涙腺が決壊しました。


 竹はどんな思いで私の所迄来てくれたんだろう……


 竹の健気な行動に、胸が一杯になりました。二の腕から腕に移動し、布団の上に降りて私の目の前に来て、じっと見つめます。


 優しい眼差しで、どうしたの? 大丈夫? と、心配してくれている様で。



「こんな飼い主でゴメンね。ここ迄来るの、怖かったよね。ありがとう」


 竹は黙ったまま聞いてくれた後、顔をちょんとつついてくれました。


 飛び出した竹を迎えに来た家族の手に乗り、部屋に帰って行きました。

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おにぎりぴより〜桜文鳥のゆるゆる日記〜 堀内 清瑞 @croweawaxflower1164

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