第12話 「これは、3D喧嘩であり、3Dサッカーなのだよ」「不意打ちジャンピングキック!!」「あまり不意打ちじゃないっ!」


  しかし、1人は体力ゲージ赤。

 1人は、武器のDVDを再生できるゲーム機を失った。


 このまま勝てるな。


 「喧嘩なら、1対2でも君が勝つだろう」


 ゲーム機を失った男の子が、声を掛けてくる。


 彼の言ってる事は正しい。


 敗北を認めたのだろうか。


 「だが、サッカーならどうかな」


 !

 

 「何だって?」


 「これは喧嘩さ」


 !!?


 「喧嘩なら、1対2でも勝てないんじゃないのか」


 「サッカーなら」「だろ」


 「それなのに、喧嘩?」


 なんだ、何を言いたいんだ。


 困惑させるのが狙いとも思えない。


 そんな目をしていない。


 「これは、3D喧嘩であり、3Dサッカーなのだよ」


 武器であるゲーム機を失った男の子が、ゴミ捨て場から、新たな武器サッカーボールを蹴りだす。


 「心配するな」

 「ここでボールを取り出すのに手を使ってはハンドだが」

 「私は手を使っていないだろう」


 !


 サッカーに慣れていない者なら、ここで手でサッカーボールをゴミ捨て場から取り出し、ハンドになっていた所だ。


 これは3D喧嘩であり、3Dサッカーなのだから、当然、ハンドも適用される。


 この男の子は、そんなヘマはしなかった。


 もしや、武器であるゲーム機を投げたのは、これが目的でもあるのか。


 武器を失った状態で、新たな武器が出やすいというシステムは、当然考えられる。

 

 この男の子、ゲームのシステムまで予測している!?


 それに、あんな重そうなゲーム機を持ったままサッカーができるわけもない。


 考えているな。


 このGAME、僕は勝てるのか?


 体力ゲージ赤の男の子に、ボールがパスされる。


 「くっ、パスされた」


 「ガラアキストリートシュート」


  パスを受けた男の子が、壁に向かって必殺シュートを打つ。


 必殺シュートは壁にぶつかり、ボールがその場に落ちる。


 !!?!?


 なんだ、これはいったいどういう状況なんだ。


 ゴールフェンスも何もない。


 僕は、ゴールを取られたのか?


 「不意打ちジャンピングキック!!」


 !!


 不意打ちジャンピングキックの言葉を聞いた時には、もう避けられなかった。


 そして、この技名を叫んだ事も策略なんだ。


 技名を叫んだ事で、顔面を相手の向けて欲しい方に向けられているのだ。


 僕は、相手の向けて欲しい方に顔面を向けさせられている。


 そこに、不意打ちジャンピングキックが蹴りこまれる。


 !


 「あまり不意打ちじゃないっ!」

 

 僕は、そんな事を言いながら、のけぞりモーションに入っていた。


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