第10話 「合わせろ建臣」「ああ、行くぞ冴起」「これが、友情パワーだ」「ダブルフレンドシップゴールデンボールキック」「だめぇぇぇ」


 私の方から動き、男の子の肩に、首を掛けます。


 方向キー上+X+Aで、上体を起こし、私のキャラの額と、少年のキャラの額をごっつんこさせます。


 当然、私の額も痛いです。


 私にも、ダメージが入ります。


 教科書には、ごっつんこさせるなら鼻を狙えと書いてあるらしいですが、私は漢字とやらが読めないので仕方がないですね。


 はい、もう一度。


 上体が降りた状態になってから、また方向キー上+X+Aで、少年のキャラの額に額をごっつんこさせる。


 あれ、まだ入るんですか。


 じゃあ、遠慮なく、3回目いきますね。  


 【ごっつんこに耐えられなかった男の子LOSE】


 アナウンスが、男の子の敗北を知らせます。


 そこで、男の子のライフゲージが0になっている事に気づきました。


 「私、WIN!」


 さて、1対2をしてくれている美少年の方は、っと。


 !!!


 「合わせろ建臣」

 「ああ、行くぞ冴起」


 「これが、友情パワーだ」

 「これが、友情パワーさ」


 膝をついている美少年に、2人が走っていきます。


 「ダブルフレンドシップゴールデンボールキック」

 「ダブルフレンドシップゴールデンボールキック」


 男の子2人が、膝をついたまま動けない美少年の股間に合体技を打ち込んでいます。


 具体的に言うと、美少年の股間に、直接合体ダブルシュートを打ち込んでいます。


 今から向かっても、間に合うわけがありません。


 「だめぇぇぇ」

 「やめてよぉぉ」


 私は、叫ぶしかありませんでした。


 私は、なんて無力なんでしょう。

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