第11話 昔の実家と今の実家であったこと


 昔の実家であったことを話そうかな。

 中学生の頃なんだけど、私の部屋の窓は2つ。1つは玄関に面した所にある大きな窓で勉強机の棚とカーテンで半分が塞がれている。

 もう1つは室内を仕切るような障子窓。

 ただこの障子窓は開かないように釘で留められていた。

 今回は玄関側の窓のお話。


 ちょっとお馬鹿な実験をしてひーこら勉強する羽目になったある日。

 22時を過ぎてラジオを聞きながら勉強をしていたんですけど、ふとカーテンの隙間が気になったんです。

 左右のカーテンの接着点と言ったら良いのか、そこから視線があるような感じが。

 まあ、隙間恐怖症的な感じだろうって甘く見てました。

 数分後、窓がノックされた。

 同時に背筋に悪寒が走った。

 分かります?背後のラジオからの音とはまったく違う爪の先で叩く音。

 しかもカツンと言う音と共にトンという指先で叩く音までしたんですよ。

 はい。無視一択です。

 1人勉強机の電気だけで勉強していましたので絶対顔を上げてその辺りは見ないぞ!という思いを持ちながら勉強をしていました。

 そして30分ほど経ち、ラジオ番組もエンディングを迎え、気が緩んだというか本気で忘れていたんですよ。その「見られている事」に。

 背後にあったラジオの電源を切って勉強に専念と…その時、目があった。

 しかも、何故かカーテンの上の部分がが少しだけ開いていた。

 見間違いなんてもんじゃない。

 だって始めは本当に隙間というレベル。数センチ程度だったのがその時は拳一つ分開いていた。

 それだけ開いていたら見えるわけで…ええ。薄ら笑いをした少年がこちらを見ていました。

 鳥肌がぶわっと立ち、目が離せない。

 そして出た言葉が…「体は?」だった。

 無意識に出た言葉で意味は無かったかも知れない。

 ただ、頸だけだったわけで…あの時カットンカットンという音は出せないよな?

 とでも思ったのか…自分ながら分からない。

 しかし相手にとっては予想外だったのか変な顔をしてその首は落ちた。

 なので私はすぐに机の引き出しに入れていた目玉クリップを取り出してカーテンを閉め、しっかりと挟んで見えないようにした。



 時は過ぎて大学生の頃。

 この頃は引っ越しをして新しい家に越したけれどもそこは中古物件で曰くは…分からないけれど問題は無かった。

 ただ深夜0時辺り、1階玄関側のパソコンを置いている共有スペースでレポートを作成していると、奥の階段からトントントントン…と誰かが降りてくる。

 それは家族の誰の足音でもなく、子ども…よりも幼児の足音。

 そして最後の段になると軽く跳んでドンッと音が鳴る。

 そしてこちらに向かって歩いてきて…私の方までは来ずに柱の陰からこちらを見ている感じを受ける。

 こちらとしては病み上がりでのレポート提出が重なった状態で結構切羽詰まっていたのでそれどころじゃない。

 でも小さい子がこっち見ている。

 そこで何故か、

「ゴメン!今忙しくて相手出来ない!」

 と言った。

 無視すればいいのにだ。

 運が良かったのかその子は聞き分けよく階段を上っていった。

 上ってすぐ右手側の部屋は母親と妹の寝室。

 真ん中は妹の勉強部屋。

 奥は私の部屋。

 玄関側の現在地の上が母親と妹の寝室だが…足音は2階に上りきり、左側へと向かった。

 私はレポートを作成しながらその足音が進むのをずっと聞いていた。

 真ん中の部屋で、足が止まらなかった。

 鳥肌が立った。

 私の部屋へと向かってる?入れないとは思うけど、扉の前で待っていたら…仕方ない。レポートはあと一つあるし、今日は徹夜するしかない!

 そう決め込んで私は4時頃までレポート作成をしていました。

 その後はあまりにも眠すぎて意識朦朧としたまま部屋に行き寝てます。怪異?覚えて無い!と言うか私の部屋には幽霊さん迂闊には入れないと思うし。

 見えないならそれで良いんです。子どもであればオモチャ用意して置いておくので煩かったり邪魔しなければご自由に…と言うスタンスですし。


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