第7話 よし、土曜午後一人でお仕事をしている人向けの話をしよう


 霊の話をするとしよう(CV:櫻井〇宏)


 と言うわけで土曜日の午後といってもお昼に一人でお仕事をしていたときの話。


 出先でちょっとした販売をする事になり午前中はその販売をひーこら言いながらやっていたんですよ。

 そして12:50に先方から終わって良いよと撤収指示が出たので会社に戻ったんですけどね、会社には誰もいなかったんですよ。

 時刻は13:40少し過ぎたところ。

 どうせ会社は午前中の出勤のみと言い切っていましたし?

 現地解散オッケーだったのでほとんどの人がそのまま帰っていた。

 営業車や社用車を使っていた人達は戻しには来たようだけど、荷物を倉庫に入れてすぐに帰ったようだった。

 何よりも会社の鍵を持っていなかった。私以外。

 なので私は意気揚々とセキュリティを解除して鍵を開け、中に入り、鍵を閉めて…サービス残業のお時間だオラァ!(半ギレ)

 売上の確認や釣り銭等が間違っていないかのチェックをし、序でにお客様から依頼のあった商品のリスト作成をね?

 いやぁ…会社お休みだから電話もないしお仕事捗るぅ~

 流石に私一人なのにフロア内全部の電気を付けるのは…ということでフロアカウンターと自分のデスク付近の2ヶ所だけ点けて後は薄暗い状態。

 と、1時間半くらい経った頃。ちょうどリスト作成が終わる直前。

「あのぉ~すみませーん」

 事務所入り口、カウンターの方から声がした。

「あっ、はーい」

 ディスプレーに向けていた視線をカウンターの方へ向けると、カウンター奥の壁の方から男の人が顔を出していた。

「あー済みません。本日会社はお休みでして…」

 そう言いながら私は席を立ち、動きを止める。

 会社の構造に事務所が1階ではない。なので階段を上って来たことになる。

 現在人はおらず、階段を上る音はどんなに静かに歩いても靴音などが響く。

 そして何よりも玄関の鍵はしっかりロックした。

 私は急いでその人の元へと向かった。

 しかしそこに人の姿はない。

 隠れる場所は階段下のみ。上の階は倉庫で、扉は施錠もされている。

 何より先述したとおり逃げたとしたら足音が響くはず。

「……」

 更に嫌なことに気付いた。

 声を掛けられたとき、男の人が顔をひょこっと出した位置、およそ2メートルの位置だった。

「うわぁ…大男さんだぁ…」

 ただし幽霊だけどな!

 自分の席に戻り、リストを作り終えて先方にメールを送る。

 そして上司に『出たので帰ります』と、メッセージを送ると『出た?ゴキ?』と即レスが来たので『幽霊が買い物に来たのでお休みですと伝えたので多分帰ったかと。怖いので帰ります』と伝えておきました。

 課長的には幽霊よりもゴキの方が怖いとの事でしたが…うん。確かにぃ!


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