第8話 九死に一生を得る経験って結構ありません?


 4話目の話もこのタイトルみたいな話ですけど、今回の話は未来が見えたわけではなく声に導かれた…のかなぁ?という話。


 大学生の頃なんですけど、夏休みにとあるツテからアルバイトしないかというお話を戴きましてね。

 エアコン設置関連で住宅密集地域の数カ所一気に設置工事を行う話が持ち上がったそうで、私でもできる軽作業…ということで声が掛かったのですよ。

 区画ごとに行い、4軒の住宅の間に足場を組んでそこに荷物などを置いていき、流れ作業のようにどんどん組み上げと設置を行う…1つのご家庭にエアコン3~4台?といった感じでしたのでかなり人手が足りなかったようです。

 で、現場作業の経験の無い私ですから足りないものの補充や休憩時間のお茶島の準備等々雑事というかパシリをしていたんですね。

 1日目、2日目と過ぎていき3日目に軽く小雨が降ったんですよ。すると足場の板がちょっと滑るんです。

 木板だったり金属製の板だったりなんですけど、どれも滑る部分というか、滑りやすい部分があるんです。

 で、まあお察しとは思いますが、滑りました。

 3階足場から落下して───何故か2階にするっと入りました。

 何故かというか、私が手を伸ばした所に足場の塩ビパイプ?があって、そこに綺麗に手が掛かりスルッと着地。

 見ていた人が言うには綺麗に弧を描いていたそうです。

 滑って落ちる時、人って「あ、しまった」程度しか頭にないのが良く分かりましたよ。はい。

 その時耳元で「右手を伸ばして」と言われたので素直に伸ばしたら、見事に引っかかってスルッと下の階に着地したんですが…

 実はもし落ちていたら恐ろしいことになっていたんですよ。

 下にはむき出しの塩ビ管が何故か縦に立っていまして…ええ。

 モズのハヤにヱというか、昔の磔刑というか…そんな感じになっていたのは確実でした。

 あの声の人には心から感謝ですよ。

 ───その現場にそんな人居ませんでしたが。

 若いお姉さんの声でした。

 いてもおばちゃんですよ?

 あの状況で普通に「右手を伸ばして」って普通のトーンで言える人もいなければ私の耳元ですから一緒に落ちていないとそんな風には聞こえないんですよね。

 うん。本当に心から感謝です。


 ただね、その声聞き覚えあるんですよ。

 前に書いた、よく車を運転しているときに聞くあの声。

 偶に馬鹿にしてくるあの声の人?なんですよね…でもまあ助けてくれる優しい方なので感謝です。


 これがイマジナリーフレンド関係だったら凹むわ。

 あ、でもそれはそれで潜在能力に助けられたって感じで格好いい?


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